Withコロナ時代の新しい営業パイプラインの構築方法とは?

 緊急事態宣言が解かれ、少しずつ元の日常が戻ってきています。

 しかし、ニューノーマルと呼ばれるように、全てが元通りになるわけではありません。皆さんの中にも、週に何日かはリモートワークをするようになったり、オフピークでの通勤になったりと、様々な場面で変化が求められていることと思います。

 それでは数ある業務の中で、営業スタイルはどう変わったでしょうか?

 コロナ前のように変わりなく訪問営業ができていますか? 恐らく多くの企業では、不要不急の面談や商談は控えられる傾向にあるのではないでしょうか? 結果的に自粛期間中と変わらず、リモート営業を余儀なくされているケースが多々あるでしょう。あなたの組織では、リモート営業によって成果を挙げられていますか?

 クラウド営業支援ツール「Senses(センシーズ)」を提供する株式会社マツリカの調査によると、リモート営業に苦しんでいる企業の実態が見えてきます。同調査によれば、営業活動をリモートワークで行う中で、76.7%の人が「生産性が上がったとはいえない」と回答しており、「営業活動のリモートワーク化で感じる課題として、「オンラインでの商談や社内会議での意思疎通(44.9%)」が最も多く挙げられています。

引用:営業活動のリモートワークに関する調査結果を発表。約8割が「生産性が上がったとはいえない」。ツール導入後は「オンライン商談や社内間の意思疎通」が課題に|株式会社マツリカ

これまでと変わらない結果を出せている企業や勝ち筋を見つけた企業がいる中、成果を挙げられていない企業も数多く存在していることが分かります。

リモート商談がうまく行かない理由とは?

 なぜ、リモート商談がうまくいかないのでしょうか? マクロな視点では、企業が消費を抑制するようになり、買い控えが発生している可能性が想定されます(業種等によってコロナによる影響は異なります)が、ミクロな視点で見ると、次の2点が大きな原因ではないかと推測できます。

1.マーケティングリードが枯渇している

 この約3ヶ月の間に、キャンセルされたオフラインのイベントや展示会は数え切れません。業種・業界によって影響度合いも異なりますが、多くのリード獲得の機会を失っている場合もあることになります。当然見込み顧客の数を担保できなければ、商談数や成約数が伸びるはずもありません。

こうした課題に当てはまる企業の例としては、オフラインでのマーケティングにフォーカスし、顧客管理がうまく機能しておらず、リードに対してフィールドセールスが片っ端からアプローチしたり、飛び込み営業をしたりするような、旧来の日本型の営業組織が当てはまるでしょう。今こそ、ニューノーマルに適した営業組織に生まれ変わるときです。

 こうした課題に当てはまる企業の例としては、オフラインでのマーケティングにフォーカスし、顧客管理がうまく機能しておらず、リードに対してフィールドセールスが片っ端からアプローチしたり、飛び込み営業をしたりするような、旧来の日本型の営業組織が当てはまるでしょう。今こそ、ニューノーマルに適した営業組織に生まれ変わるときです。

2.単に商談方法をリモートにしただけ

 直接訪問して商談をするのではなく、単にリモートにしただけでは、現在のような景気後退局面において成約率の向上は見込めません。個人、チームともに、リモートワーク環境下においても、成約率の維持・向上を図る方法を見つけなければなりません。

ニューノーマル時代のパイプライン構築方法とは?

 ニューノーマル時代に即した、パイプラインの構築方法、そして営業組織とはどのようなものでしょうか? 上記で述べた、クロージングとマーケティングリードの課題に対するアイディアを見ていきますが、前提条件はいずれもオンライン環境下でいかに効率を高めるかがポイントです。

1.オンラインファーストでトップオブファネルを構築する

 次にマーケティングリードの獲得における課題解決を考えていきます。すでに多くの企業が実践していることと思いますが、今後はさらに「オンラインファースト」の潮流が加速することでしょう。これは顧客にとっても同じことです。今までセミナーイベントや展示会で情報収集をしてきた顧客が、オンラインで情報を収集するようになるという意味です。

 こうした顧客行動に対応するためには、オンラインでのプレゼンス(存在感)を高め、見込み顧客ニーズを叶えるコンテンツを提供し、見込み顧客に対して自己理解を促し、見込み顧客からアプローチしてもらうインバウンドマーケティングへの注力が必要になってきます。各企業が、今後SEOやSEM、その他オンライン広告、パブリシティ獲得、コンテンツ制作への予算配分を増やすことでしょう。

 そうなると、特にオンライン広告の相場金額の高騰が予測されます。そのときには、新しい打ち手を考えることが重要です。例えば新型コロナウイルスをきっかけに増えてきているウェビナー(オンラインセミナー)やポッドキャストなど、広告費をかけずにリードを獲得する方法などが挙げられます。

 ポッドキャストに関しては、General Electric Company、Johnson & Johnson、McKinsey & Companyなどが配信をしており、一定の成果をあげています。

 国内においては、ポッドキャストでの成功事例はまだまだ多くないようですが、ウェビナーについては成功事例も増えています。

 ウェビナーとこれまでのセミナーや展示会を比べてみましょう。展示会は多くのリードを短期間で獲得するためにはとても効果的です。費用も小さなコマであれば数十万円。ブースの装飾もいくらでも抑えることができます。

 ただし、リードの質に疑問が残るのは確かです。極端な例だと、オフィスの外に出たいから展示会に訪れる人や、決済権や起案者にすらなり得ない方が来訪することもあります。一方ウェビナーでは、単に時間をつぶすために参加する人はまれでしょう。導入意向や学習意欲が高い見込み顧客の割合が高いと考えられます。

 常に必要なパイプラインを維持するために、まずはスモールスタートでよいのでこれらを始めてみるべきでしょう。リードが枯渇してからどうしようと嘆いても仕方ないのです。

2.インサイドセールス型組織でリモート営業をさらに効率的に

 前述したアンケートでも、リモート営業に成果を感じていない企業が多数でした。重要なポイントは、成約率を高めるためには、商談に繋がりそうな有効リードとそうでないものを切り分ける必要があることです。これまでのように、存在するリードに対して片っ端から電話をしている、いわゆる「テレアポ」では効率は上がりません。

 有効なリードを発見するためには、「顧客情報を正しく管理・可視化し」「それぞれの顧客のステータスに応じた会話をして」「優先順位を正しく把握する」ことが求められます。この理想を実現するのがインサイドセールス型の組織です。事実、インサイドセールス型の組織を有するアドビ社は、Withコロナにおいても成果が下がるどころか、むしろ向上しているといえます。

『アドビのビジネスチームで生産性が落ちているのかというと「明確に否だ」と廣川氏。実際に、同社インサイドセールスチームが対になるフィールドセールスに提供している「ピッチ(=商談機会)」の件数は2月より3月に増加しており、4月1週目も月間ペースに置き換えると2月を上回るペースで推移しているというのだ。なお、これまではインサイドセールスが電話をかけて創出されたピッチ件数が多かったというが、テレワーク移行後はメールでの創出件数が2.5倍になっているという。』

引用:訪問せずでもアドビの生産性はなぜ高い?インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスのメール術大公開!|SalesZine

 フィールドセールス商談設定からクロージングまで幅広く担当していた旧来の営業から、オンラインでのコミュニケーションのプロであるインサイドセールス、クロージングのプロであるフィールドセールスと分け、それぞれが役割とKPIを持ちながら協働することで有効なリードの見極めが可能になり、成約率の向上につながっていきます。

 

海外のBtoBセールス事情はアフターコロナでどう変わったか?

 最後に海外の事情について、興味深い調査を見てみましょう。McKinsey & Companyが4月30日に公開したレポート「The B2B digital inflection point: How sales have changed during COVID-19」の中から、一部を引用してみます。

「アフターコロナの時代において、旧来のセールス活動とデジタルを含むセールス活動のどちらが顧客にとって好ましいかは、後者が前者の約2倍という回答を得た(前者が34%、後者が66%)」として、さらに上記の回答のうち、スペインとイギリスのBtoB企業の意思決定者は、デジタルチャネルの重要性をさらに高く評価しており、デジタルを含むセールス活動が旧来の約3倍、日本と韓国では約1.5倍となっているようです。

 同じ記事では、さらに過去の調査も引用しており、セルフサービス型の商品を好む割合を2016年と2019年を比較したデータを掲載しています。調査によると、自身で商品を検索する人は2016年から90%増加、自身で商品を評価する人は120%、購入と再購入はそれぞれ30%増加しています。

 近年で、どれほど顧客の行動が変わってきたのかを示す貴重なデータとなっており、いかにオンライン上で見込み顧客の要求を満たすことが重要かを示しています。

引用:The B2B digital inflection point: How sales have changed during COVID-19|McKinsey & Company

 直近の新型コロナウイルスによるクライシスで、デジタルシフトが劇的に加速するであろうことは想像に難くありません。「変化できる者が生き残る」という事実もさらに強調されることになるでしょう。アフターコロナの世界のニューノーマルを正しく、そして素早く把握して、スピード感を持って適応していくことが、営業組織のリーダーに求められるでしょう。

また、インサイドセールスの導入及び効果的な運用については、E-Bookに記載しましたので、ダウンロードしてお役立てください。