不動産業界は従業員が定着しにくいです。厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」によると、不動産業の離職率は14.8%。16業種の中で第5位と離職率が高いです。
不動産業界の離職率が高い理由として「成果主義」が挙げられます。ノルマが達成できないと悩む従業員がいるのです。このような成果主義の業界でも、長く働いてもらうためにどうすれば良いのでしょうか?今回は、不動産業界の部下マネジメント術について解説します。
目次
不動産業界は「成果主義」
不動産業界には「成果主義」が浸透しています。成果主義とは、仕事の成果や成績、実力などに応じて待遇を決定する人事制度であり、年齢や学歴、勤続年数で評価されることはありません。結果が出せれば昇給しますが、結果が出せなければ降格や減給します。
不動産の営業担当者は結果が出せる人がいれば、結果が出せないと悩む人もいます。結果が出せないと焦り、社内に居づらくなるため退職を決断してしまうのです。
成果主義の特徴
メリット |
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デメリット |
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(出典元:ピポラボ「成果主義のメリットとデメリットとは?うまく浸透させる方法」)
(出典元:不動産営業マン日誌「【とにかく恐い上司達!不動産屋あるある8選!】」)
不動産業界の部下マネジメントの重要性
成果主義の不動産業界は、従業員が定着するように部下マネジメントを行いましょう。ここでは、部下マネジメントの重要性について解説します。
部下の自己肯定感が上げられる
部下の業務遂行の過程を見守り、適切にサポートしてあげてください。部下が結果を出せたときには、褒めてあげましょう。安心感と称賛を与えることで、部下は自己肯定感を高めていけます。
自己肯定感とは、自分の価値や存在意義を肯定してもらえたときに芽生える感情です。部下の自己肯定感を高められれば、主体的に仕事に取り組んでもらえるようになります。
仕事に積極的に取り組んでもらえる
部下の成果を正しく評価すれば、仕事に積極的に取り組んでもらえます。誰にでも承認欲求が存在します。成果が出せた部下を褒めれば承認欲求を満たすことができるはずです。その結果、「もっと努力をして売上を伸ばそう」「スキルアップしていこう」と積極的に仕事に取り組んでもらえるようになります。
部下と良好な関係を築ける
部下の業務遂行の過程を見守り適切にサポートしてあげることで、部下と良好な関係を築くことができます。部下に寄り添えば「上司の期待に応えたい」「上司のような人になりたい」と感じてもらえて、部下と信頼関係が構築できます。信頼関係を構築しておけば、仕事がスムーズに回せるようになるでしょう。
(出典元:新人営業マンが1年目にやるべき4つのこと【トップセールスへの道】①)
不動産業界の部下マネジメント術
不動産業界では部下マネジメントが大切だと理解して頂けたと思いますが、どうすれば良いのでしょうか?次に不動産業界の部下マネジメント術をご紹介します。
1.成果が出せる方法を教える
不動産会社で上司の立場の人は、不動産契約を獲得できる術を持っているものです。また、不動産契約の獲得の難しさも痛感しているでしょう。上司が持っている不動産営業ノウハウは部下に教えてあげましょう。さらに、不動産業界での武勇伝を部下に教えてあげるのも効果的です。
【武勇伝の参考例】
- 「毎日5,000枚のチラシを撒いていたよ」
- 「不動産業者のネットワークを豊富に持っているよ」
- 「1日で3棟の不動産契約をしたことあるよ」
不動産業界の新入社員は営業経験が乏しいです。アピールできるのは根性です。新入社員が真似しやすい武勇伝を教えてあげると行動しやすくなります。
2.部下の弱み・強みを教えてあげる
上司は部下の弱み・強みを理解して指導してあげてください。不動産営業で強みとなる項目として、以下の項目が挙げられます。部下の弱みは上司がサポートして改善していきましょう。
柔軟性 | 変化に素早く適応できることを指す。新しい手順を取り入れられ、変化を楽観的に受け入れられる能力をいう。 |
自発性 | 上司の存在や明確な指示がなくても動けることを指す。セルフモチベーションが高い従業員は貴重な存在になる。 |
チームワーク | 従業員同士で協力し合いながら働けることを指す。個々の役割や責任を理解しながら、チーム全体の成功に焦点が当てられる重要な存在になる。 |
成功志向 | 目標に焦点を当てることを指す。日常的な業務に対して目標を立てれば、大きな目標を成し遂げることができる。 |
楽観主義 | あらゆる出来事に対してポジティブな考えを持つことを指す。ストレスの多い社会の中でも前向きであり続けられる。 |
コミュニケーション | 他者とつながることができることを指す。コミュニケーション能力が長けている人は簡潔で要点を捉えた話し方ができる。 |
感情認識 | 言葉やボディランゲージを通して、相手がどのように感じているか認識する能力を指す。共感性の高い人は顧客の気持ちを捉える能力が長けている。 |
信頼性 | 正直で責任を果たせることを指す。信頼できる従業員は会社の機密情報の取り扱い方にも配慮できる。 |
問題解決 | 状況判断し解決策を提示するのが得意なことを指す。トラブルが起きたときに頼りになる。 |
頼り甲斐 | 頼り甲斐とは、信用のおける忠実な人柄を指す。時間を正確に守り、どのような時も同僚に手助けをする。 |
(参考:https://jp.indeed.com/career-advice/starting-new-job/strengths-at-workplace)
3.狙い目の物件について教える
不動産会社へ入社・転職したばかりの新人は媒介物件がありません。そのため、売主物件に目星を付けて、レインズ上に登録されたら周囲にチラシを配布しに行きます。狙い目の物件を教えて行動に移せるようにアドバイスすれば、新人も自信を持って営業活動ができます。
4.不動産業界のネットワークの大切さを教える
不動産業界で契約を獲得するためには、不動産業界のネットワークが必要不可欠です。例えば、不動産の買付の申込み順位が2番目になっても、売主側の不動産業者と信頼関係が築けていれば優先順位を覆して契約に至るケースもあります。
また、非公開物件の情報を入手できるなど、不動産業界のネットワークを大切にするほど契約が獲得しやすくなります。このようなノウハウを教えてあげることで、部下も行動に移しやすくなります。
5.部下が成功したら褒める
部下が契約を取れたり、積極的に営業活動をしていたりしたら褒めてあげましょう。部下を褒めるときには以下のポイントを押さえておくと効果が見込めます。
【部下の褒め方】
- 部下の良い部分を具体的に褒める
- その場で褒めてあげる
- 他の人がいる前で褒めてあげる
- 第三者の声を使用して褒めてあげる
- 小さな変化・成長を褒めてあげる
(出典元:新人営業マンが1年目にやるべき4つのこと【トップセールスへの道】①)
(出典元:LIFULL HOME’S「不動産営業で部下をやる気にさせる効果的なほめ方とポイント)
補足:音声解析ツールで営業力を見直せる時代へ
不動産業界でもDX推進が加速しており、新型コロナウイルス感染拡大下ではオンライン商談が普及しました。また、音声解析ツールで商談や通話内容が可視化でき、各担当者の営業の問題点を見つけやすくなってきています。音声解析ツールをはじめ、デジタルツールで部下の営業力を上げることも可能です。
まとめ
不動産業界は、完全成果主義が採用されており離職率が高いです。従業員が定着しなければ、採用および教育コストが大きな負担となります。さらには、レジリエンスな組織を作ることができません。
また、人材不足で採用難に陥る恐れもあるため、部下は大切に育てていきましょう。そのために部下マネジメント術を押さえておかなければいけません。最後に、不動産業界の部下マネジメント術を押さえておきましょう。
【部下マネジメント術】
- 成果が出せる方法を教える
- 部下の弱み・強みを教えてあげる
- 狙い目の物件について教える
- 不動産業界のネットワークの大切さを教える
- 部下が成功したら褒める
- デジタルツールを活用して教育する
ぜひ、これを機会に部下マネジメント術や部下との関係を見直してみてください。