営業育成における効果的なロールプレイングの方法とは?

営業スキルを高めるトレーニングの一環として、ロールプレイを取り入れている企業が増えています。しかしその一方で、あまり効果を感じられず、どのように取り組んだらよいか悩んでいる担当者の方も多いのでは?

そこで、本記事では効果的な営業ロールプレイの方法やコツについて解説します。

成果を出すために見直すべき4つのポイント


ただ漫然と数をこなすだけでは、営業ロールプレイの本来の効果は得られません。これからあげる4つのポイントに注意をしつつ、ロールプレイのやり方を見直してみましょう。

(1) 設定が曖昧になっていないか?

ロールプレイの場面設定を曖昧にして進めてしまうと、リアリティに欠けるため、緊張感を持って取り組むことができません。お客さまの設定や商談の進行状況などを詳細に作り込むことで、参加メンバーの真剣味が増し、感情移入がスムーズになります。お客さまの気持ちに寄り添った営業トークに近づくことができます。

▼場面設定の具体例

〜お客さまの設定(ペルソナ)〜

・事業内容:人材派遣サービスを提供するベンチャー企業

・資本金:1億円

・年商:10億円

・従業員数:60名

・設立:2016年

・課題:売上は毎年倍々で急成長中。積極的に中途採用をしているが、採用のミスマッチや入社後のフォロー不足により、社員の定着率が悪い

・商談相手:人事マネージャー(34歳・男性)

〜セールスプロセスの設定〜

・3度目の面談

・お客さまの課題を探るフェーズ

ペルソナにはリアルな名前と社名をつけ、その役柄に入り込むことが重要です。

(2)主役は営業マンではない?!

ロールプレイは「営業マン」「お客さま」「オブザーバー」の3人1組で実施するのが理想的です。ロールプレイ全体を客観的に俯瞰するオブザーバーの存在が不可欠なのです。

法人向けの人材育成を行うマーキュリッチ社では、「ロールプレイの主役は営業マンではなく、オブザーバーであるという意識を徹底させることが重要」だとしています。

さらに、オブザーバーには「どんなスキルが使えていて、どんなスキルが使えていなかったかについて、具体的なフィードバックを要求します。するとオブザーバーは、営業マン役とお客さま役のやりとりを真剣に、しかも細部まで見るようになります」と述べています。

営業マン役は自分が気になっているところを、オブザーバーに事前に伝えておくのもありです。

(参考:ロールプレイを効果の高い取り組みにするには?)

参考:続・ロールプレイを効果の高い取り組みにするには?)

(3) 質の高いフィードバックができているか?

ロールプレイにおいてもっとも重要なプロセスは、フィードバックといっても過言ではありません。とかく評価者の営業スタイルや得意分野に偏ったフィードバックになってしまいがちです。

そうなると改善点を把握できないだけでなく、評価者に不信感を抱いてしまうことにもなりかねません。客観的な事実をベースにした指導が営業スキル向上の鍵を握ります。

・動画を撮影して客観視する

客観的なファクトベースとして、もっとも有効なのが動画です。ロールプレイの様子を録画したら、その動画を見ながら振り返りをしましょう。

中原淳東大准教授は著書「フィードバック入門」の中で、「最も有用なのは、収集した相手の問題行動を、いわば『鏡』のように相手の目の前に映し出し、客観的かつ正確に事実を通知していくこと」と述べています。

自分ではできていると思っても、実際には、想像のレベルに達していないことが多いもの。第三者によるフィードバックはもちろんですが、自分の視点による内省も大切です。

JALでは、空港スタッフの接遇力やコミュニケーション能力の強化を図るため、ロールプレイ訓練を実施。その様子を撮影した動画を見ながら、全員でディスカッションし、具体的にどのような点を改善したら良いかアドバイスを加えています。お互いに指摘し合うことで、気づきが得られるとのこと。

コロナ禍の現在は、Zoomを使った指導に切り替えています。「自分の表情や同僚の表情を見ることができる」とし、対面教育とは違ったメリットがあると言います。

(参考:中原淳 (2017) 「フィードバック入門」)

(参考:ロールプレイ/ロールプレイで営業力UP – #2 フィードバック – ロールプレイを効果的にする鍵)

また、ミリオンセールスアカデミー®主宰する台本営業®コンサルタント加賀田氏は、「営業台本(トークスクリプト)が重要なのはもちろんですが、態度や言い方もとても重要です」と述べています。

例えば、口角を上げて笑顔を作っても、目が笑っていなければ、かえってマイナス印象を与えてしまいますので、気を付けましょう。

(参考:ロールプレイ(ロールプレイング)営業で成果を出す10のコツ・メリット・種類とは?)

・AIソフトを使って客観的なフィードバック

最近はフィードバックにAIを用いる企業が増えています。みずほ銀行では、集合研修会内や支店OJTでも積極的にローロールプレイングを実施しています。その中で、新入社員からは「より多くのフィードバックを受けたい」という声があり、また支店の指導担当者からは「自身の指導方法が正しいのか不安」といった声がそれぞれ多くあがっていたようです。

そこで、ロールプレイの内容を分析し、客観的データをフィードバックレポートとして還元できるAIソフトを導入。その効果について「新入社員側の提案力強化、指導担当者側の指導力強化という当初の目的に加えて、ロールプレイを通じた質の高いコミュニケーションが生まれたのは非常に良かった」と語っています。

(参考:【UpSighter導入事例】株式会社みずほ銀行様「偏りがない指導で営業スキルを向上させたい」|digital FIT)

(4) 新鮮な気持ちで取り組めているか?

ロールプレイを継続化するには、モチベーションをキープすることが大切です。そのための方法を解説します。

・ 社内ロールプレイ大会を開催しよう

成果を発表したり競い合ったりする場があると、「そこに向けて頑張る」ことができ、日々の継続がしやすくなります。また、他人のパフォーマンスが刺激になったり、良い事例をベンチマークさせたりと、得られる効果は数多くあります。

社内イベントのサポート事業を手がけるGROWS社では、「コンテストの中で一番大事なのは評価項目。そして、メンバーをどうやって巻き込んでいくかだ」と述べています。

ここでは、同社クライアントにおける社内接客コンテストの事例を紹介します。回を重ねるごとに着実に成果を上げています。

【課題】

商品が高単価なため成約まで時間がかかるケースが多く、クロージングに課題を感じていた。お客さまを選んで接客をしており、お迎えや挨拶などの部分が弱くなってしまっていた。そこで、接客を競い合う接客コンテストを開催。一番いい事例を映像化して、メンバー全員で共有した。

【採点方法】

接客項目を分解し、どの項目が顧客満足度に一番影響を与えているかを分析。それらの項目を点数化し、評価項目を作成。

【告知方法】

社内ポスター、メルマガ、映像制作などで話題作り。

【成果】

接客レベルの向上と同時に店舗数も倍近くまで増加。さらに、店舗毎のチームワークが格段にアップ。決勝戦に参加するスタッフを皆で応援し、練習を付き合う中でチームワークが生まれ、よりよい組織となっていった。ただ接客を競い合うのではなく、それを囲うスタッフにも良い影響を生んだ。

(参考サイト:社内接客コンテストの実施目的と成果はココにあり | GROWS.inc)

・他業種でロールプレイをする

時には視点を変えて、他業種でロールプレイをしてみることをおすすめします。

経営コンサルティングファームの株式会社マーケティング・トルネードの佐藤氏は、その意義について、「専門知識に頼ることができず、セールススキルそのものが問われる」と分析しています。

このときのポイントは、類似業界を選ぶこと。「自社が保険業界であれば、住宅リフォーム業でロールプレイをやることも効果的。不動産や住宅を扱う会社は、自動車販売や中古車販売の営業マンを演じてみるのもいいでしょう」と述べています。

(参考:強い営業マンを育てる営業ロールプレイングのコツ・進め方|ノウハウ記事 マーケティング・トルネード)

営業ロールプレイの種類

営業ロールプレイには4つの種類があります。それぞれに特徴があるため、課題や目的によって使い分けましょう。

ケース型ロールプレイング

具体的なシチュエーションを設定した、もっともオーソドックスなロールプレイです。

顧客(業種・立場)とセールスプロセス(情報収集・課題確認・原因確認・解決策の提示・クロージング)をリアルに設定することで、実践的な学びを得ることができます。

問題解決型ロールプレイング

現実に起こっている課題をテーマとしたロールプレイングです。これから控えている商談や過去に起こった問題を取り上げても有効です。

ある生命保険会社では、実践者が「状況設定シート」に、実際のお客さまについて、自身が上手に対応できなかった課題とお客さまの反応を記載し、応対する人に予め渡しているとのこと。

具体的な商談を扱うことで、より気持ち入りやすくなります。また、参加者それぞれの視点で解決策を模索することができます。

(参考:ロールプレイ/ロールプレイで営業力UP – #3 ロールプレイ(ロールプレイ)実施のHow to – “7 Steps”と仕組みづくりのTips)

グループロールプレイング

営業マンとお客さまのグループに分かれ、同じテーマについて役割を交代しながら実施するロールプレイングです。

両方の役割を演じることで、お客さまの気持ちを体感できます。そこから見えた新たな気づきをセールスに生かすことができます。

モデリング型ロールプレイング

トップセールスが全員の前でロールプレイを行い、それを模倣するロールプレイングです。

先輩社員や優秀な営業担当にモデルをしてもらい、それをマネすることで基本的な営業の型を身につけることができます。

(参考:ロールプレイ(ロールプレイング)営業で成果を出す10のコツ・メリット・種類とは?)

(参考:ロールプレイ/ロールプレイで営業力UP – #1 ロールプレイの目的整理と状況設定)

(参考:効果的な営業ロールプレイを進める上での5つのポイント)

(参考:営業ロールプレイを成功させるコツ|失敗例から学ぶ4つのポイント)

(参考:https://www.hr-doctor.com/news/management/goal/management_shainkenshunotsubo?content=management_shainkenshunotsubo)

MiiTelを活用して効果的なロールプレイを実践しましょう


セレブリックス社においては、AI搭載のIP電話MiiTelを活用してハイパフォーマーとなかなか成果の出ないメンバーのMiiTelスコアを比較し、差のついているスコアに着目し指導に生かしています。

ラリー回数が低いとわかれば、通話記録を聞き直して弱い部分を中心にロールプレイングを行った結果、成果の出ていないメンバーが、3カ月で約3倍の成果を出せるようになったとのことです。

また、オープンエイト社においては、新人教育でMiiTelの通話記録から先輩のベストプラクティスを聞く研修を行いつつ、ロールプレイングに活用した結果、アポイント獲得率が2カ月で170%の成果を出すことができました。

(参考:https://miitel.revcomm.co.jp/archives/case/2025)

(参考:https://miitel.revcomm.co.jp/archives/case/1765)

まとめ

今回は効果的な営業ロールプレイのやり方についてご紹介しました。ポイントは大きく分けて2つです。

①場面設定を詳細に作り込む

②質の高いフィードバックをする

ロールプレイの効果が今ひとつ感じられないマネージャーや経営者の方は、ぜひ、本記事を参考にして、ロールプレイを行ってみてください。さらには、AI搭載のIP電話MiiTelを活用することでより効果的なロールプレイを行うことができます。

【参考】インサイドセールス成功事例に関する記事

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