【定量調査結果】インサイドセールスを効果的に運用する為には?

今回は、米国インサイドセールスプロフェッショナル協会が実施した『インサイドセールスプロセスレポート,”The-Inside-Sales-Process-Report”』の内容をご紹介します。

この調査は、データドリブンで定量的に実施され、調査結果はインサイドセールスを導入している企業や、これから導入する企業にとって示唆に富む内容となっていますので、是非ご覧ください。

調査結果の項目だけ抜き出すと以下の通りです:


  1. 営業指標の精度
  2. 1日当たりの新規リード数(営業担当者1人当たり)
  3. 1日当たりのコール数(営業担当者1人当たり)
  4. インサイドセールスの最適なタイプ
  5. どこからリードを集めるべきか
  6. リード情報の自動入力
  7. 新規リードを「誰に」割り当てるべきか
  8. 新規リードを「どのように」割り当てるべきか
  9. 新規リードの優先順位付け
  10. 新規リードと接点を持ってから、5分以内に電話すべき
  11. 架電前の事前情報収集は5分以内に終わらせるべき
  12. 新規リードに15分以内にアプローチ出来ない場合、別の担当に再度割り振るべき
  13. Eメールの自動送付
  14. 1リード当たり、5回はアプローチすべき
  15. SQLからMQLに戻すまでの期間

ちなみに、インサイドセールスとは何か、なぜインサイドセールスを導入する企業が急増しているかについては、コチラの記事(利益を増大させるインサイドセールスのメカニズム)や、Ebook(インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用)をご覧ください。

~ 調査結果 ~

営業指標の精度

(調査結果)
売上が20%以上伸びている企業(以下、急成長企業)は、売上が一定/減少している企業に比べて、KPIなどの営業指標が正確だと回答した割合が3倍以上。

(Sales Hackerのコメント)
成長企業は、KGIやKPIなどの重要な営業指標を明確に設定し細かくモニタリングしているため、販売不振の際に原因を迅速に割り出し直ぐに対策を講じることができます。問題が生じた際に直ぐに対処することで、成長を維持できるのです。

1日当たりの新規リード数(営業担当者1人当たり)

(調査結果)
急成長企業グループは、横ばい/減少グループに比べて、営業担当者に割り当てる新規リード数(新規見込み顧客数)が約2倍。

(Sales Hackerのコメント)
業界、商材、対象顧客(誰に、何を、幾らで、どのように売っているのか)によって、最適なリード数は全く異なりますが、成長企業では1日1人当たり平均約14社の新規リードを与えているようです。担当者に何社の新規リードを与えるかどの企業も悩んでおり、試行錯誤する中で最適値を見つけるしかありませんが、1日1人当たり14社という数字は一つの参考値になると思います。

1日当たりのコール数(営業担当者1人当たり)

(調査結果)

急成長企業グループは、1日1人当たり約50コール。横ばい/減少グループに比べて、約20コール多い。

ただし、コール数だけ増やしても売上は増えず、営業指標や営業支援ツールなどを整備しなければ成約数は上がらない。

(Sales Hackerのコメント)
いたずらに目標を増やしても、労働集約型の気合と根性の営業からは抜け出せません。営業には間違いなく気合と根性が必要ですが、データをもとに営業を科学しなければ営業生産性を上げることはできません。営業プロセスを細分化し、テクノロジーを活かして営業を科学しましょう。

インサイドセールスの最適なタイプ

(調査結果)
インサイドセールスは、チーム型、独立型、ハイブリッド型などいくつかのタイプに分けられる。
最も多くの成長企業が、チーム型を取り入れている(インサイドセールスとフィールドセールスが協力するモデル)。

チーム型
インサイドセールスがフィールドセールスと協業し、共通のノルマを課せられる。

独立型
インサイドセールスがノルマを持ち、フィールドセールスの関与なしにクロージングまで行う。

ハイブリッド型
インサイドセールスは主に内勤だが、必要に応じ外出し対面営業も行う。

(Sales Hackerのコメント)
コチラの記事(インサイドセールス導入時の検討事項と留意点 ~3つのタイプと夫々の特徴~)でもご説明した通り、インサイドセールスは上記3つに分けられます。

日本でもインサイドセールスを導入している企業の多くはチーム型を採用しています。ただし、どのタイプが適しているかは会社ごとに異なります。詳細は記事(インサイドセールス導入時の検討事項と留意点 ~3つのタイプと夫々の特徴~)をお読み頂ければと思いますが、自社の(1)商品・サービスと、(2)対象顧客に応じて、どのタイプが自社に合っているのか判断できます。

 

どこからリードを集めるべきか

(調査結果)
急成長企業は、オンライン広告やソーシャルメディアからリードを多く集めており、ダイレクトメールや、従来型のメディアへの依存度が低い。

(Sales Hackerのコメント)
コチラの記事(【成約率を飛躍させる】成約率を上げるインバウンドマーケティング(HubSpotの例))でご説明しましたが、成長企業はオウンドメディアなどを活用して効率的にリードを集める仕組みを作っています

効率的にリード集める取り組みの1つとしてインバウンドマーケティングが注目されていますが、これからは営業もマーケティングと連携を図ってリード最適化にコミットしなければなりません(コチラの記事もご参照下さい:【営業戦略】法人営業戦略を成功へと導く5つのヒント)。

リード情報の自動入力

(調査結果)

  • リードを獲得したら、リード情報を迅速かつ正確に顧客データベースに追加し、営業活動を開始することが重要。
  • リード情報を顧客データベースに効率よく追加するために、多くの企業でリード情報の入力は自動化されている。

新規リードを「誰に」割り当てるべきか

(調査結果)

  • 多くの企業は、新規リードを営業担当にランダムに振っているが、一部の成長企業では営業成績、企業規模、社会的近接性(特定業界の人脈や、ソーシャルメディア上の共通の繋がり)など何かしらの基準で担当を決めている。
  • 特に社会的近接性(特定業界の人脈や、ソーシャルメディア上の共通の繋がり)を元にリードを割り振っている企業の成長は大きい。

(Sales Hackerのコメント)
Social Proximity(社会的近似性)によって営業担当を決めるという考えは米国で生まれた比較的新しい考え方です。ソーシャルメディアはマーケティングに多く活かされていますが、営業では活かしきれていません。今後ソーシャルメディアを営業にも活かす流れが出てくると思います。

新規リードを「どのように」割り当てるべきか

(調査結果)
新規リードを割り当てる方法は、下記5つ。
それぞれの割り当て方法と成長度合いの相関は見られないが、成長企業では2つ以上の方法を組み合わせている割合が多い。

1.自動
あらかじめ決まった条件をもとにシステムが自動的に営業担当者に割り当てる。

2.ブラインド
営業担当者が自ら新規リードをリクエストするが、リードの詳細は見られない。

3.選別
営業担当者は新規リードリストを見て、コンバージョンが高いと思えるものを選ぶことができる。

4.先入れ先出し
営業担当者が新規リードをリクエストした時点で、アプローチ可能なリードの一番上にあるものを割り当てる。

5.マネージャー
マネージャーがその都度決められた条件に基づき割り振る。

(Sales Hackerのコメント)
どのようにリードを割り当てるかは、さほど重要ではありません。それよりも、どのリードに最初にアプローチをすべきか、マーケティングオートメーションツールなどを活用してリードの優先順位を付けるほうが重要です。インサイドセールスはマーケティングと連携を図り、リードの優先順位付けにコミットする必要があります。

新規リードの優先順位付け

(調査結果)
急成長企業のうち約60%は、優先順位付けの条件を2~3つ設けており、システムで自動的に優先順位付けされるようにしている。

(Sales Hackerのコメント)
リードの優先順位付けはとても重要ですが、優先順位付けのルールを決める必要があります。マーケティングオートメーションツールなどを用いて一定の条件のもとなるべく自動で点数化するようにしましょう。

優先順位付けルールの個数

優先順位付けルールと、成長率の相関

優先順位付けの自動化と成長性の相関

新規リードと接点を持ってから、5分以内に電話すべき

(調査結果)
成長企業は、新規リードと接点を持ってから5分経たずに電話をしている割合が高い。
全リードの50%超に対して5分経たないうちに電話できている企業の割合でみると、急成長企業では約40%(売上横ばい/減少企業の2倍以上の割合)。

(Sales Hackerのコメント)
「鉄は熱いうちに打て」ではないですが、自社と接点を持ってから5分も経つと顧客の興味は急激に落ちます。顧客と接点を持ったら直ぐに電話するようにしましょう。そうすれば、アポイント獲得率・成約率が格段に上がります。

架電前の事前情報収集は5分以内に終わらせるべき

(調査結果)
急成長企業の約50%では、新規リードの情報収集を5分以内に終わらせている。急成長企業は短時間で情報収集を行い、すぐに電話をかけている。

(Sales Hackerのコメント)
コチラの記事(【営業力を上げる】営業力を劇的に上げる視野・視座・視点の変え方)でも少し記載しましたが、リードの事前情報収集は2~3分もあれば充分です。深く調べてもアポイント率や成約率を高めることにはつながらないので、情報収集項目をあらかじめ決めて2~3分で終わらせましょう。事前に以下3点が分かれば完璧です。

  1. 誰に、何を、いくらで、どのように提供してる会社か
  2. 社歴
  3. 規模(従業員数、売上)

新規リードに15分以内にアプローチ出来ない場合は、別の担当に再度割り振るべき

(調査結果)

  • 営業担当が一定時間内にリードにアプローチできない場合、急成長企業の7割は別の営業担当に再度割り当てる。
  • また、リードの再割り当てを行う急成長企業の内、約40%は最初に割り当てた担当者が15分以内にアプローチしない場合、再割り当てを行っている。

(Sales Hackerのコメント)
リードと接点を持ってから、いかに早く電話をするかが勝負であることは統計的に証明されているので、成長企業はとにかくスピードを重視します。事前の顧客情報収集やトークスクリプトの磨き込みも重要なのですが、とにかくすぐ電話することに注力しましょう。

Eメールの自動送付

(調査結果)
成長企業は、電話同様Eメールについてもスピード重視で、約45%が新規リードに自動でメール送信し、40%が可能な限り早く人手で送付する。

1リード当たり、5回はアプローチすべき

(調査結果)
成長企業は、電話の繋がらなくとも1リード当たり、5~8回電話をしている割合が高く、逆に4回以下であきらめる割合が低い。

(Sales Hackerのコメント)
コチラの記事(【組織の営業力を上げる】利益を増大させるインサイドセールスのメカニズム)でもご説明した通り、電話が繋がらなくとも1リード当たり5回はアプローチするようにしましょう。そうすれば、案件化率は劇的に向上します。新規リードを要求するのではなく、既存リードを活用することで大きな成果を得られます。

SQLからMQLに戻すまでの期間

(調査結果)

  • 商談すべきリード(SQL)に電話がつながらない場合、一旦アプローチをやめてナーチャリングすべきリード(MQL)に戻す。
  • あきらめるまでの期間が短すぎる場合は機会損失(Opportunity Loss)が生じ、長すぎる場合は無駄な工数がかかりリソースが無駄になる。
  • 急成長企業の場合、1週間~2週間以内にコンタクト出来なかったSQLはMQLに戻す傾向にある。

いかがでしたでしょうか?

今回は15個の調査結果をご紹介しましたが、皆さんがインサイドセールスを有効に運用するヒントとなれば幸いです。

コチラの記事(インサイドセールスから、インサイトセールスに近づける5つのヒント)や、Ebook(インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用)では別の定量調査結果をご紹介しておりますので、是非ご覧ください。