新人教育の正しいやり方とは?5つの手順でオンボーディングを実施しよう!

近年、事業運営における新人教育の重要性は高まっています。
ビジネスをとりまく急激な変化や人材不足に加え、新卒や若手社員の離職問題が深刻化してきているためです。

米国ウィスコンシン州のオンライン教育サービスLORMAN社は人材教育の重要性について、以下のように述べています。

「業界のトレンド、規制、および需要の高いスキルは常に変化しています。従業員のトレーニングと能力開発を怠ると、会社の将来の成功が危険にさらされることになります。」

1996年生まれ以降の人は「Z世代」と呼ばれ、それ以前の人材とは育ってきた環境が異なります。
育ってきた環境が異なるということは、教育においても変化が必要になります。つまり、世代や人材に応じた正しい教育を行わなければなりません。

新人教育を行う中で、以下のような課題に直面していませんか?

・新人教育におけるオペレーションが定まらない
・日々の業務が忙しく、新人教育に時間を割けない
・そもそも新人教育を担当する人材がいない

1つでも該当する企業は、新人教育のオペレーションがうまく機能していない可能性があります。
新人教育を疎かにすると、貴重な人材を失う危険性も高まります。このような課題を解決するための有効な手段がオンボーディングです。

オンボーディングを実践することで新人教育におけるオペレーションが定まり、教育のための時間や、担当者を付けるという人材不足に関する問題点も解決できます。

本記事では、オンボーディングの具体的なメリットに加えて、実践するための手順も合わせて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

(参考:「LORMAN-39 Statistics that Prove the Value of Employee Training-」)

新人教育におけるオンボーディングとは?

オンボーディングは英語の「on-board(飛行機や船に乗っている状態)」が語源となっている言葉です。
人事用語では企業という船に新人を乗せることでいち早く仕事を覚え、現場の環境に馴染んでもらうための教育プログラムです。

オンボーディングは「研修」や「オリエンテーション」と似ている言葉ですが、以下の2点において明確な差があります。

・短期的なプログラムではなく、長期的に取り組むもの
・担当者に任せるのではなく、組織全体で取り組むもの

これらの特徴により、オンボーディングは新人教育にかかる時間不足や人材不足などの課題解決に繋がります。
また、オンボーディングが教育プログラムの1種であることから、必然と新人教育におけるオペレーション方法も定まります。

このように、オンボーディングは新人教育において重要な役割を持っており、企業にとっては欠かすことのできない考え方の一つとなっています。

(参考:d’s JOURNAL「オンボーディングとは?離職防止や新入社員の活躍に効果のある実践方法と取り組み事例」)

オンボーディングにおける4つのメリット

オンボーディングを取り入れることで4つの恩恵を受けられます。
具体的には以下の4点です。

・新人教育を促進させる
・離職防止につながる
・機会損失を防ぐことができる
・チーム全体のパフォーマンスが向上する

新人の成長を促進させる

オンボーディングを導入することで、新人の成長を促進できます。
なぜなら、オンボーディングは新人の即戦力化と職場環境への順応を目的として作られたプログラムだからです。
つまり、いち早く新人が組織に馴染み、業務を覚えることから即戦力として活躍できるようになります。

離職防止につながる

新人が離職してしまう大きな原因の1つに「人間関係」が挙げられます。

(引用元:「第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍-仕事を辞めた理由-」)

オンボーディングは組織全体が協力しながら新人育成を行うため、自然と人間関係も良好になります。
そのため、オンボーディングを導入することで組織の結束力を高めることができ、結果として新人の離職防止に繋がります。

機会損失を防ぐことができる

新人がすぐに離職してしまえば、戦力になる前にかかった採用コスト、教育コストなどが無駄になります。そもそも人ひとりにかかる採用コストは、就職白書によれば平均72.6万円といわれており、3か月以内で辞められると、投資コストに合わなくなるからです。仮に辞められた場合において、また、採用しても立ち上がるまで6か月かかり、機会損失が生じます。

チーム全体のパフォーマンスが向上する

チーム全体のパフォーマンスが向上することも大きなメリットです。
オンボーディングでは、従来の担当者と新人といった狭い関係ではなく、組織全体を通して多くの先輩社員を関わるようにできています。
このことから結束力が高まり、チームにおけるパフォーマンスが上がります。

(参考:「就職白書2019-就職みらい研究所-」)
(参考:中小企業庁委託第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍-仕事を辞めた理由-)

オンボーディングを実施する前に企業で共有すべきこと

オンボーディングを実施する前に、企業内で共有しておくべきことがあります。つまり、準備が必要ということです。
具体的には、以下の4つです。

・新人との価値観の違い
・受け入れる雰囲気づくり
・教育のおける目的
・実践あるのみ

これらのことを社内で共有しておく必要があります。

新人との価値観の違い

新人と先輩社員の間では、価値観の相違があります。
特に年齢の離れた人と新人では、大きく違うと感じることもあるでしょう。
価値観の違いを事前に理解しておくことは重要です。

そもそも育ってきた環境や、生きてきた時代が異なる人同士であれば、価値観の相違が生じるのは至極当然のことです。

例えば、コミュニケーション方法の違いが挙げられます。
年配の社員は会話や電話など、直接的なコミュニケーション方法を用いていました。
ところが、「Z世代」である今の新人は、スマートフォンやSNSの普及により間接的なコミュニケーションが主なツールです。

これらの環境の違いを理解し、価値観に相違があることを知っておかなければなりません。
受け入れる雰囲気づくり
新人を受け入れる雰囲気づくりをしておくことも必要です。

新人は構築されていない人間関係や、新たな環境により不安を感じます。
オンボーディングでは組織全体で取り組む必要があるからこそ、余計にその雰囲気づくりは重要になります。

新人が不安を感じてしまえば、オンボーディングが上手く機能しないことから、離職してしまう可能性も向上してしまいます。

教育における目的

企業の目標から新人にどのような人材になって欲しいのかを明確に把握し、オンボーディングを通じた教育の目的を決めておく必要があります。

目的の明確化ができていれば、オンボーディングを実施する中で、どのようなスキルを取得させるべきか、組織全体でどのように教育していくべきかなどが必然的に決定されます。

このようにオンボーディングを上手く機能させるためには、その目的を明確にし、全体で共有しておくことが重要です。

実践あるのみ

早期戦力化を図るためには教えることだけではなく、実践させることが重要です。野球を例に挙げると、バッティング練習をしないと、打てるようにならないことは想像に容易いでしょう。どれほど教えることが上手い人でも、本人に実行してもらわなければ上達しません。業務やスキルを習得させるには、実践させる必要があるということです。

(参考:HR Trend Lab「新人教育を成功させる5つのステップを解説!」)

新人教育においてオンボーディングを実施する5つの手順

新人教育においてオンボーディングを実施するためには、以下の5つのステップで行います。

・マインドを共有する
・業務全般に必要なOJTを実施する
・担当業務ごとに詳細なOJTを実施する
・学習内容における理解度を確認する
・実務に備える

マインドを共有する

企業のマインドを共有します。
マインド共有の目的は組織の企業理念や背景などを理解させ、業務における目的を認識してもらうことです。マインドを共有しておかなければ、業務に対する意義や自分の役割を見いだせずに、モチベーションの低下に繋がります。

業務全般に必要なOJTを実施する

業務全般に必要なOJTを実施します。
業務における基本的なやり方を学んでもらいます。

担当業務ごとに詳細なOJTを実施する

次に担当業務ごとに詳細なOJTの実施です。
担当する業務によって、やり方や覚えるべき内容が異なります。
部署間で連携を取りながら、新人一人ひとりに対して適切なOJTを行っていく必要があります。

学習内容における理解度を確認する

これまで行ってきたOJTに対して、その理解度を確認します。
完璧にインプットできる人間はいないので、必要な部分は再度教え、実践の中では組織全体でサポートしてあげましょう。

実務に備える

オンボーディングの最終段階は、実務に備える期間です。
実際に現場で戦力として働いてもらうための最終調整を行います。
例えば、担当業務が営業であれば、必要な商品知識や営業手法の確認をします。

リモート化における具体的な事例については、以下の記事をご参照ください。

(参考:SELECK「リモートで新入社員をどう受け入れる? 7社の『オンボーディング・ハック術』を公開!」)

新人教育のおける3つの注意点

新人教育を行う中で、気をつけるべき注意点があります。

・強く叱らない
・一人で悩まない
・カリキュラムの理由を話さない
・強く叱らない

Z世代である今の新人は、叱られ慣れていません。
この背景には、パワハラに対する対応が厳しくなったことなどが挙げられます。
つまり、叱る側が制御しなければならなくなりました。

しかし、叱ってはいけないということではありません。
感情のままに強く叱るのではなく、きちんと叱る理由や叱っている内容を理解させる必要があるということです。

一人で悩まない

組織全体で行うオンボーディングにおいても、担当業務ごとのOJTなどではメンターを付けることもあります。
そのようなときにメンターや担当者が、一人で悩まないようにすることが重要です。

一人で悩んでしまうと、新人教育にフォーカスできないだけでなく、メンター自身が精神的なダメージを受けてしまいます。
部署間で連携を図り、チーム全体で教育する必要があります。

カリキュラムの理由を話さない

マインド共有のなかで、オンボーディングにおけるカリキュラムの実施理由を話さないことは危険です。理由や背景を話さなければ、自発的な行動には繋がらず、新人は他人にやらされている仕事だと感じるようになります。

結果的に新人のモチベーションは向上せず、パフォーマンスが大きく低下するので、実施するカリキュラムの理由は伝えるべきです。

まとめ

新人教育にオンボーディングを導入することで、リソースを確保できます。従来の教育プログラムでは、新人教育だけに人材や時間が必要でした。一方オンボーディングは、組織全体で新人の即戦力化を図る教育プログラムであるため、上記の課題を解決できます。

オンボーディングを上手く機能させることができれば、新人の成長を促進させ、離職率低下に繋がります。また、結束力の向上からチーム全体のパフォーマンス力も向上します。
ただし、オンボーディングにおいて、一概に決まったプログラムはありません。
本記事を参考に企業に適したオンボーディングを作り、実践してみましょう。

(参考:HR Trend Lab「新人教育を成功させる5つのステップを解説!」)

新人教育で成功した事例

以下の会社は優れたオンボーディングで新人育成に成功しています。参考にしてください。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
新人教育が大幅に効率化 8カ月かかっていた新人育成期間を3カ月に短縮

株式会社マネーフォワード
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株式会社ネオキャリア インサイドセールス事業部
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