保険業界はインサイドセールスで商品提案をする時代へ

MA&ADインシュアランスグループホールディングスの調査結果によると、日本の生命保険の市場規模は約40兆円と言われ世界2位の規模を誇ります。

1996年に施行された改正保険業法では、販売チャネルの多様化が認められ、2000年代にはインターネットが急速に普及。その結果、営業職員や代理店販売だけではなく、銀行窓口や通信販売、オンライン販売など販売チャネルは多様化しました。

一方で、国内では給与水準が上がらず、老後に備えた資金を貯めるため金融商品を見直す人も増えています。インターネットを活用して、自発的に情報収集する人も増えており、消費者の情報感度は高くなってきています。そのため、高度な提案が求められるようになってきました。

今後、保険業界は、どのような営業手法を行うべきなのでしょうか?この記事では、保険業界で現在注目を集めている営業手法「インサイドセールス」について解説します。

参考:MS&ADホールディングス「生命保険業界」

保険業界がインサイドセールスに取り組むべき理由

インターネットの普及によりインターネットの普及に伴って、顧客の情報感度は高くなってきています。大手保険会社を中心に、従来の営業手法から新たな営業手法「インサイドセールス」への切り替えが開始されています。なぜ、営業手法を変えなければいけないのでしょうか?ここでは、保険業界がインサイドセールスに取り組むべき理由について解説します。

1.保険情報を収集する顧客に高度な提案が求められるため

インターネットの普及により、代理店や営業職員を介さずに保険商品を検索・比較できるようになりました。日本は給与水準は上がらないため、自力で資産形成しようと保険商品など金融商品に興味を持つ顧客が増えており、自発的に情報収集して、保険に関する情報感度が高くなっています。

顧客は保険商品を自分で選びたいという意識を持ちつつも、数多くの保険商品が販売されているため「自分に最適な保険商品をプロにすすめて欲しい」と感じているようです。

近年では、ライフスタイルの変化により、消費者の求める保障ニーズは多様化しています。また、購買や検討段階で保険商品の価値や違いを認識するのは難しく、プロの意見が聞きたいと声が上がっているのです。これまでは、保険商品の情報提供だけで済みましたが、一人ひとりの消費者に見合った保険商品を提案していく必要性が出てきているのです。

参考:保険ビジネス「保険業界におけるデジタルマーケティング

2.国内市場は縮小、コスト削減の業務効率化が必要なため

保険業界の国内市場は、少子高齢化や生産労働人口の減少、自動車保有台数や住宅着工件数の伸び悩みで縮小しています。国内市場だけで考えると、今後、市場規模が拡大する可能性は低いです。そのため、大手保険会社は海外進出をして、海外事業基盤の拡大を狙い始めています。

また、国内では自然災害リスクを考慮しなければいけず、海外進出することで保険引受リスクを分散させるという動きも出てきました。

国内市場で考えると、利益を生み出すためにコスト削減、業務効率化をしていかなければいけません。そのため、従来の営業手法から新たな営業手法に取り組んでいく必要があります。

参考:MS&ADホールディングス「保険業界の今後」

3.コロナ禍で非対面営業が推奨されたため

明治安田生命保険は3万人を超える生保レディーを抱えており、顧客と対面して保険商品を販売している保険会社です。2020年3月に新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発令され、3密を避けるなど従来とは異なる新たな生活様式となりました。

ビジネスでも非対面型ビジネスが推奨されたのです。対面型ビジネスで保険商品を販売していた生保レディーは、大きな制約を受け手おり、成約率が落ちています。新たな生活様式でも保険商品を販売していくには、非対面型ビジネスの営業手法(インサイドセールス)を身に付ける必要があります。

参考:週間ダイヤモンド「生保レディー受難、運用地獄……withコロナで巻き起こる保険業界7大トレンド」)

 国内市場衰退の保険業界に必要な「インサイドセールス」とは

保険業界は、従来の営業手法から新たな営業手法「インサイドセールス」に取り組む必要があります。そもそも、インサイドセールスに切り替えると、どのように営業手法は変化していくのでしょうか?ここでは、マーケットへのアプローチ方法の変化を見つつも、従来の営業手法と現在求められている営業手法について比較して紹介します。

<マーケットへのアプローチ方法の変化> 

  これまで これから
マーケティング マスを中心とした情報発信を目的とした広告 ・顧客セグメントに対して効果的なチャネルを活用したマーケティング活動

・CRMを活用したマーケティング効果の可視化

引受査定(商品開発) 大まかなリスク分類による 商品開発 リスク細分化による商品開発
営業手法 訪問営業と対面営業 顧客の嗜好多様化によるマルチチャネルを活用した顧客対応
契約の継承 契約件数の多い営業担当者の退職は稀 営業担当者の引退で大量の解約リスクが高まり、リテンション強化が求められる
アプローチ方法 職場訪問で死亡保障型を軸にした営業アプローチを実施 顧客セグメントに応じた適切なアプローチを実施
顧客戦略 「全ての顧客に選ばれる」戦略 「自社商品に見合う顧客に選ばれる」戦略

参考:アクセンチュア「「顧客に選ばれる時代」から「顧客を選ぶ時代」へ」

上記の表からも分かるように、従来の保険商品の情報発信だけで契約が獲得できる時代は、すでに終わりを迎えてます。顧客セグメントに対して有効なチャネルを活用し、顧客が求める情報を具体的に提供する営業手法を考えていく必要があります。

大手保険会社のインサイドセールス事例

インターネットの普及で消費者の情報感度が高まったことから、高度な提案が求められるようになりました。また、新型コロナウイルス感染拡大防止で非対面型ビジネスが推奨され、営業手法は大きく変わろうとしています。

実際に、大手保険会社は、どのような営業手法に切り替え始めているのでしょうか?ここでは、大手保険会社の新しい営業手法「インサイドセールス」の事例をご紹介します。

全代理店と連携・情報集約(東京海上日動火災保険)

東京海上日動は、全国49,000件の保険代理店と契約を締結しています。従来は保険代理店ごとに顧客情報を取り扱っていましたが、付加価値の高い保険商品を提供するため、代理店で保管する顧客情報を統合・集約できるデジタルプラットフォームを導入しました。

単なる契約情報だけではなく、対面営業、コールセンター、デジタル接点で得た情報を集約。各顧客に最適な保険商品を提案するための、高度な情報分析、情報活用に乗り出しました。これらの情報を活用して顧客の嗜好多様化の営業手法を実現しています。

(参考:日本経済新聞「東京海上日動、代理店システムを大幅リニューアル及び情報統合・集約のデジタルプラットフォームを導入」)

IVRやAIによる業務効率化(アフラック生命保険株式会社)

アフラック生命保険は、より良いサービスを提供するためにデジタルイノベーションを進めており、主に、コンタクトセンターの強化に注力しています。応対マニュアル自動表示AIは、オペレーターに向けのAIシステムで、顧客との会話を踏まえて適切な応対マニュアルを表示。AI搭載型IP電話を活用して通話分析で成約を得るためのトークスクリプトを作成するなど、デジタルイノベーションに積極的に取り組んでいる保険会社として注目を集めています。

(参考:ビジュアルIVRや営業支援AI、アフラックが顧客接点もデジタルで変革)

オンライン契約の実現(第一生命保険株式会社)

第一生命保険は、AIやVRを活用した営業ロールプレイングが新人教育研修に導入して営業力強化するなどデジタル活用に積極的な保険会社です。インサイドセールスにも注力しており、オンライン営業で契約締結まで行える体制を整備して話題を集めました。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、非対面ビジネスが推奨されて、第一生命保険会社のオンライン営業手法は注目を集めています。

参考:日本通信ネットワーク株式会社「「コロナ禍」でリード獲得数が激変?カオス化するオンライン営業やインサイドセールスは「救世主」となるか?」

参考:ZDNetJapan「第一生命、顧客提案力の向上にAIやVRなどを活用する実証実験」

オンライン接客でスピード対応を実現(ライフネット生命保険)

ライフネット生命保険では、業界に先駆けてチャットツールを活用したオンライン接客に取り組んできました。新型コロナウイルス感染症の流行でオンライン営業が注目度を集め、利用者が急激に増えましたが、チャットツールを活用したオンライン接客は、スキマ時間を活用できて便利と顧客側から高く評価されています。

また、チャットツールで良くある質問に関しては、WEBサイトに情報掲載することで、迅速な対応ができる保険会社とも評価を集めており、2020年度成長率は、対前年度比189%を記録。インサイドセールスで急成長をしています。

参考:PRTIMES STORY「オンライン接客で急成長を遂げたライフネット生命。コロナ禍のニーズにいち早く応えられた背景を探る」

まとめ

今回は、保険業界の新たな営業手法「インサイドセールス」について解説しました。従来とは異なり、それぞれの顧客に見合った最適な保険商品を提案しなければいけない理由は以下の通りです。

  • 保険情報を収集する顧客に高度な提案が求められるため
  • 国内市場は縮小、コスト削減の業務効率化が必要なため
  • コロナ禍で非対面営業が推奨されたため

情報感度が高まる顧客に対して高度な提案ができる保険会社がビジネス機会を得ることができます。デジタルを活用した営業手法インサイドセールスは、新型コロナウイルス感染防止対策で非対面型営業が推奨されて、普及率が加速しています。早期に取り組み保険会社がビジネス機会を得られることは間違いありません。ぜひ、これを機会に、新たな営業手法「インサイドセールス」に取り組んでみてください。