インサイドセールスにおける賞賛文化をつくる必要性とは?

インサイドセールスの主な業務内容は、見込み顧客の育成です。見込み顧客が求めている情報を提供して案件化させ、フィールドセールスに案件を引き継ぐことが主な業務となります。インサイドセールスは、見込み顧客から断られる事が多く、契約までのプロセスを自ら行うわけではないため達成感を得にくい部署であると言われています。

インサイドセールスは営業において重要な部門であり、各メンバーのモチベーションを上げられるか否かが、営業の成否を左右します。では実際に、どのような方法でモチベーションを維持すれば良いのでしょうか?本記事では、インサイドセールスで重要な表彰制度や内容について分かりやすく解説します。

インサイドセールスにおける賞賛文化の必要性

 営業業務を通じて得られる達成感は個人の趣向もあると思いますが、主な要因は下記の通りです。

 ・目標を達成できた時の達成感

顧客と良好な人間関係を構築できること

・成果を出して優秀な人材として認識されること

また、お客様から「ありがとう」と感謝をされることも大きなモチベーションの1つです。フィールドセールスやカスタマーサクセスの担当者は、お客様から直接、感謝の声を聞ける機会があります。お客様の喜びの声や感謝の言葉は、自社へのロイヤリティが高まると同時に業務に対する社会的意義が感じられるものです。

しかし、インサイドセールスにおいては、お客様の喜びの声に触れる機会はあまりありません。インサイドセールスは、重要な部署にも関わらず、営業業務の本来の喜びや達成感を感じにくいものです。そのため、社内で賞賛の文化を作り、各メンバーのモチベーションを維持していく必要があります。

インサイドセールスの賞賛の文化-表彰制度-

インサイドセールスメンバーのモチベーションを維持するためにも、賞賛の文化(表彰制度)を設けましょう。実際に、どのような表彰制度を設ければ良いのでしょうか?ここでは、インサイドセールスの賞賛の文化を根付かせるために、必要な表彰制度の設定方法について解説します。

表彰制度

表彰制度
  • 月間表彰
  • 四半期表彰
  • 半期表彰
  • 年間表彰
表彰単位
  • 部門内
  • 事業部内
  • 全社共通
表彰内容 MVP

(Most Valuable Player)

定量的な目標達成率が最も高かった個人
VP

(Valuable Player)

MVPに次いで、定量的な目標達成率が高かった個人
MVT

(Most Valuable Team)

定量的な目標達成率が高かったグループ
VT

(Valuable Team)

MVTに次いで、定量的な目標達成率が高かったグループ
新人賞 3ヵ月以内の入社メンバーの中で最も成果を出した個人
部長賞 定性面の活躍、組織の貢献、部門間連携などで貢献した個人
カスタマーディライト お客様から感謝されている個人

【表彰の演出やルール(例)】

表彰式の主役である表彰者に特別感を味わってもらうための演出が必要です。さらに、受賞者だけでなく全社員のやる気を高揚させ、一体感溢れる表彰式にしましょう。

  •  表彰式ではジャケットを着用する
  • 会社のロゴが入ったTシャツを着用する
  •  四半期や半期の表彰式は外部会場にて実施する
  • トロフィーはクリスタル製オリジナルデザインで作る
  •  表彰コメントは上長が事前にスライドを作成して読み上げる
  • 歴代表彰者や記録保持者の一覧ページを作成する
  •  MVP受賞者は翌月の表彰式で成功事例の横展開を実施する
  •  部門内表彰であっても写真撮影をして、全社に共有する
  • 企業ブランド・ビジョンの共有を行う

表彰制度の注意点

表彰制度の注意点は、マンネリ化しないように工夫することです。そのため、表彰制度の演出や表彰コメント、トロフィーに至るまで想いを持って取り組みましょう。

表彰制度の目的

表彰制度の目的は、お客様から感謝の声をもらう機会が少ないインサイドセールスのモチベーションを上げることです。しかし、表彰制度の目的は、それ以外にもあります。

誰を目指すべきロールモデルとして表彰するのか、どんな行動が是として賞賛されるのか、組織が大切にしていることは何なのかとメッセージを伝播させる目的もあります。そのため、表彰制度は組織に大きな影響を与えることを理解して設計する必要があるのです。

インサイドセールスのモチベーション維持法

インサイドセールスメンバーのモチベーション維持に表彰制度は必要不可欠ですが、それ以外にもモチベーション維持する方法はあります。ここでは、インサイドセールスメンバーのモチベーション維持方法をご紹介します。

メンバーの挑戦を支援する

インサイドセールスメンバーの挑戦したい気持ちを優先して支援しましょう。しかし、全ての挑戦が良い成果を生み出すわけではなく、失敗を招いてしまうこともあります。

メンバーが失敗した時に大切なことは「失敗したけれど、気づきは得られたか?」と質問することです。

失敗と新たな気づきのバランスが釣り合っていれば、失敗した場合でも挑戦した意味があったことを認めてあげましょう。このような考えを持ちながら、メンバーの挑戦を支援することでモチベーションを維持させることができます。

プロセスとツールを提供する

営業経験者は独自の販売スタイルを持っていますが、それでも販売プロセスを提供する必要があります。

例えば、既存テンプレートから作成されたメールを提供すれば、フォローアップを合理的に行えます。また、商談化率を上げるためのノウハウをセールスケイデンスにしてまとめておき、誰でも取り組めば営業成績を上げられる環境を整えておきましょう。

さらに、インサイドセールスでは、デジタルツールの提供も欠かせません。デジタルツールの使用方法も説明して、営業活動が効率的に行える環境を整えてあげましょう。

このように、営業が行いやすい環境を整えることで、インサイドセールスメンバーのモチベーション維持が行えます。

健全な競争環境を整える

営業職を希望される方は、少なからず闘争意識を持っています。各メンバーの闘争心を刺激するためには、健全な競争環境を整えることが大切です。健全な競争環境を整えれば、困難に対して立ち向かう力、敗北から立ち上がる力、失敗を恐れずに挑戦する力、絶対に諦めない根気強さなどの精神力が育てられます。

健全な競争環境を整るためには、各メンバーに努力したら達成できる目標を与えて、公平な評価をしていくことが必要です。公平な評価は、インサイドセールスメンバーのモチベーション維持に欠かすことができないものです。

インセンティブを用意する

インサイドセールスは、顧客から感謝をされにくい部署ですが、見込み顧客の育成を主業務とするなど、営業活動でも重要な部署です。そのため、目標達成したメンバーにインセンティブを用意しましょう。インセンティブを用意する場合は、各メンバーに対して公平性を保つことが大切です。また、努力をすれば達成できる目標を設定しましょう。

インセンティブは報酬を与えることを指しますが、上長からの感謝の言葉も、インサイドセールスメンバーのモチベーション維持に効果があります。そのため、組織に貢献しているメンバーには、積極的に感謝を伝えましょう。

営業活動量を視覚化する

インサイドセールスは、見込み顧客に対して電話をかけたり、メールを送信したりします。1日に数十件とアプローチをするインサイドセールスは全体像を見失ってしまい、集中力を欠くことも多いです。そのため、営業活動状況を視覚化してチームで共有しましょう。

インサイドセールスチームの全体目標に、自分がどれだけ貢献できているかをデータで視覚化することで、インサイドセールスメンバーのモチベーション維持ができます。

トレーニング環境を整備する

インサイドセールスメンバーに成長を望みたい場合は、トレーニングツールを導入して、自発的に学べる環境を整えましょう。また、組織に新しいメンバーが加入した際は、教育プログラムのオンボーディングを実施しましょう。新しいメンバーが即戦力となるように、チーム全体でサポートすることで、離職率を大幅に下げることができます。

メンター制度とエルダー制度を導入する

メンター制度とは、所属する上司とは別に、先輩社員が若手社員をサポートすることをいいます。主に精神的な悩みや人間関係などのサポートを実施することをいいます。仕事の悩みを気軽に相談できる先輩社員をつくることで、離職率を大幅に下げることができます。

また、メンター制度と類似語としてエルダー制度があります。エルダー制度は、先輩社員が若手社員を主に仕事の面でのサポートを実施することです。こちらは、指導する側も管理経験を積めるという特長があります。

(参照:VanillaSoft「Motivating Your Inside Sales Team」)

 まとめ

今回は、インサイドセールスの賞賛の文化(表彰制度)について解説しました。顧客から感謝の言葉が得られにくいインサイドセールスメンバーのモチベーション維持には、表彰制度が欠かせません。そのため、インサイドセールス部隊を立ち上げる際に、表彰制度を設定しておきましょう。

表彰制度は、インサイドセールスメンバーのモチベーションを上げるだけではなく、誰が目指すべきロールモデルなのか、どんな行動が是として賞賛されるのか、組織が大切にしていることは何なのかとメッセージを伝播させる目的もあります。そのため、表彰制度は組織に大きな影響を与えることを理解して設計してみてください。