法人営業戦略を成功へと導く5つのヒント

法人がモノやサービスを購入する際は、定量的なROIが重視され、個人と違って定性的な理由で購入に至ることはほぼありません。裏を返せば、顧客が購入すべき定量的な根拠さえ示せれば、あとはいかに販売プロセスを仕組み化するかで法人の販売力は決まってしまいます。

今回は、BtoB事業の販売戦略を成功へと導く販売プロセスの仕組み創りについて、ボストン・コンサルティング・グループ(以下、BCG)がまとめた良記事をご紹介します。

原文はこちら

販売戦略を成功へと導く5つのヒント

BCGによると、成功するBtoB事業の販売戦略成功のカギは、下記5つを仕組み化することです。

  1.       カスタマージャーニーマップを描き、部門間連携を強化する
  2.       カスタマージャーニーマップをデジタルデータから定量的に可視化する
  3.       数打ちゃ当たる、気合と根性だけの営業と決別する
  4.       インサイドセールスを見直す
  5.       カスタマーサクセスに注力する

~以下記事内容~

AWS(Amazon Web Services)やSalesforce.com等のネット系SaaS型のBtoBプレーヤーは、既存のBtoBプレーヤーに比べてセールスサイクルを圧倒的に早く回しており、その結果、高成長と高利益体質を実現している。

成功企業10社の販売モデルを分析した結果、その裏に以下5つの秘密が見つかった。

 

  1.  カスタマージャーニーを描き、部門間連携を強化する

BtoBサービスの顧客の多くは、マーケティング/セールス/アフターセールスの活動が連携してないことに大きな苦痛を感じている。成功している企業は、カスタマージャーニー(顧客が体験するマーケティング~セールス~アフターセールスの一連の流れを可視化したもの)を描いて顧客にどんな体験をさせたいのか、部署を跨いだ時に生じる”摩擦”をいかに低減させるのか綿密に設計している。

 

  1. カスタマージャーニーマップをデジタルデータから定量的に可視化する

多くの企業が、顧客のオンライン上での”興味のサイン”(例. cookieデータなど)を軽んじており、効率的に営業、販促できていない。成功している企業は、顧客の初めてのサイト訪問から、「いつ、どこで顧客が”興味のサイン”を発したか?」定量データを追って見逃さないようにしている。とある企業は、顧客のオンライン上でのカスタマージャーニーをデータ化して、どこが売上アップを阻害しているかを徹底的に見える化した結果、3か月で売上を2倍に増やすことに成功したケースもある。

 

  1. 数打ちゃ当たる、気合と根性だけの営業と決別する

大半の企業は、リストアップした顧客に片っ端から電話営業することにほとんどの時間を費やしている(テレマ/テレアポのアウトソース活用などを含む)。一方、とある企業は、SEO、SNS活用、ブログ等を活用して、インバウンドの顧客情報を獲得して、半分のコストで顧客獲得に成功している。成功するプレイヤーは、インバウンドでの顧客獲得に注力し、高いROIを叩き出している(下図参照)。

 

  1. インサイドセールスを見直す

一般にBtoB営業は、労働集約的な人海戦術型の対面営業が基本となっており、例えインサイドセールス部隊を作ったとしても比較的スキルが低い(賃金を抑えた)人材しか配置しないことが多い。労働集約的営業モデルは、ヒト・モノ・カネ全てを浪費する上、スケールするには大量の資金が必要となる。

他方、成功しているプレーヤーは、スキルの高いインサイドセールスを少数雇い、オンライン/電話などを活用して質の高いセールス活動を実施しており、同じ時間で、量・質ともに10倍近い効果を出している。(例えば、HubSpot(アメリカで急成長しているSaaSスタートアップ)は、1セールスあたり~数十社の顧客にアプローチできている。)

※何故インサイドセールスにスキルの高い人が必要なのかは、「【営業組織体制】インサイドセールス導入時の検討事項と留意点 ~3つのタイプと夫々の特徴~」にも記載しておりますので、併せてご参照下さい。

 

  1. カスタマーサクセスに注力する

通常のBtoB企業は、初回の商品納入時に立てた売上が中心になっているが、成功するBtoB企業は、継続的なアフターセールス活動によるアップセル(付随サービス等の追加販売)の売上が中心になっている。

アップセルを実現するのが、顧客へのサービス導入支援やアップセルを主業務とする、カスタマーサクセスの存在。カスタマーサクセスを成功させるカギは、リアルタイムで顧客情報をつかみ、顧客に最も価値のある情報を直ぐに提供しているかで決まる。

~以上記事内容~

まとめ

以上、BCGの記事をご紹介して、販売戦略を成功へと導く5つのヒントについてご説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

トップパフォーマーが売上の6~8割を上げる属人的な営業体制になっている企業が大半を占めています。他方、急速に市場環境が変わる現在では、マーケティングやカスタマーサクセス等の他部門と連携を図らないと、時代の変化に柔軟に対応できず瞬時に企業価値が下がってしまいます。

また、人材流動性も高まっている状況下、トップパフォーマーが転職してしまうと、一気に売上が落ちるというリスクも内包しています。

従って、今後は部門間連携を加速させて、営業体制を仕組み化させることが益々重要になってきます。今まで、連携を図っていなかった営業/マーケティング/カスタマーサクセスに、いきなり「連携して」といっても現実的ではありません。

そこでまずは、部門間連携を推し進めるパイロット役(司令塔)が必要になりますが、その役割を果たすのに最適なのが最近米国で急発展を遂げているインサイドセールスです。インサイドセールスの詳しい説明は、「【組織の営業力を上げる】利益を増大させるインサイドセールスのメカニズム」をご覧下さい。

属人的な営業体制から抜け出すために、Sales Hackerが何かのヒントやキッカケになれば幸いです。

 

ちなみに、今後、BtoBのマーケティング戦略についての記事も掲載していく予定です。
営業の方も知っておくべき内容をご紹介する予定ですので、ご期待ください。

先行して、一部図表だけ下記に抜粋いたします。

BCGブログより抜粋

BCGブログより抜粋