不動産業界でCRMを活用する際の6つのポイント!成功事例まで紹介

インターネットの普及に伴い、顧客一人ひとりの購買プロセスに応じたきめ細かな営業アプローチが必要となりました。顧客との良好な関係を築き、維持をすることを目的にCRMシステムを導入する不動産会社が増えています。今回は、不動産業界でCRMシステムを活用する際のポイントをご紹介します。

不動産業界で必要とされるCRM

まずは、不動産業界でCRMが必要とされる理由について解説します。

CRMとは

CRM(Customer Relationship Management)は「顧客管理」と呼ばれており、広義・狭義の意味があります。

  • 広義の意味:顧客との良好な関係を構築・維持すること
  • 狭義の意味:顧客関係管理を行うツール・システムのこと

この記事では、狭義の意味におけるCRMシステムについて解説します。

CRMシステムで実現できること

不動産会社がCRMシステムを導入すると、次のようなことが実現できます。

顧客情報の共有

顧客情報(氏名・住所・電話番号・勤務先・年収・家族構成)や希望条件(希望エリア・価格帯)、Web行動履歴などのデータが蓄積できます。また、メールや通話内容などのデータなども蓄積が可能です。このような情報を共有しておけば、営業の属人化を防止できて、組織全体の営業力を上げることができます。 

マーケティングの効率化

顧客情報をCRMシステムに蓄積しておけば、顧客の購買プロセスのフェーズが把握できるようになります。フェーズや顧客動向に応じて「チラシ配布」「Web情報更新」「メルマガ配信」などを行えば、マーケティングの効率化が実現できます。

顧客分析

CRMシステムを導入して情報を蓄積していけば、顧客分析ができます。流入経路や問い合わせが多い物件情報の可視化ができます。情報の可視化により成約までの戦略を立てやすくなります。 

CRMシステム導入のメリット

CRMシステムを導入すれば「顧客情報の共有」「マーケティング業務効率化」「顧客分析」ができると説明しましたが、以下のような効果も得られます。

  • One to Oneでのコミュニケーションができる
  • 顧客対応力の向上が図ることができる
  • オフラインとオンラインの融合ができる

参考資料:いえらぶCLOUD「不動産会社におけるCRM(顧客管理システム)の必要性とメリット」

不動産業界におけるCRMの必要性

CRMシステムについて理解して頂けたと思いますが、なぜ導入すべきなのでしょうか?ここでは、不動産業界におけるCRMシステムの必要性について言及したいと思います。

従来の集客方法からの脱却

不動産会社は、今まではマス広告や折込チラシなどをメインに集客を行っていましたが、インターネットが普及した現在では、顧客がインターネットを活用して情報を収集するようになったため、インターネットに適した形での集客が必須になりました。顧客において「不動産会社に出向き、物件情報を比較検討する」から「自宅で物件情報を収集して、不動産会社に赴く」というスタイルへ変化しています。顧客情報を蓄積して、最適なタイミングで最適な情報を提供することが求められるようになってきています。

(参考資料:株式会社コンシスト「不動産業界でCRMを導入するメリット3選|主な機能・導入事例」)

非対面ビジネスへの移行

新型コロナウイルスによる影響で、非対面での接客が推奨されました。非対面接客への移行は不動産業界でも起きており、「オンライン見学」「WEB申込」「IT重説」「引渡し」などが行われています。大手企業による非対面接客の事例は以下の通りです。

[大手不動産会社の動向]

  • 三井住友不動産:オンライン接客の強化を図るためにリモート販売センターを開設
  • 大京穴吹不動産:次世代型マンション管理サービスの開発や契約書の電子化に取り組む
  • 東急リバブル:ビデオ通話によりオンライン接客を全店舗で開始 

非対面接客で成果を出すためには、顧客情報の蓄積や共有が欠かせません。そのため、不動産会社においてもCRMシステムの導入が進んでいます。

参考資料:SUMAVE「【2020年8月版】不動産業界ですすむ非対面、非接触のトレンド調べ」

企業における情報管理の限界

小規模の不動産会社であれば、顧客情報はExcelで十分かもしれません。しかし、顧客が増えてきたり事業拡大したりする場合は、Excelによる顧客情報の管理では限界が出ます。

また、契約書を電子保管したり、通話内容や商談内容を保存しておいたりする必要も出てくるでしょう。情報管理を強化するためにCRMシステムの導入が必要となります。

参考資料:いえらぶCLOUD「不動産会社におけるCRM(顧客管理システム)の必要性とメリット」

不動産業界でCRMシステムを導入する際のポイント

不動産会社でCRMシステムの導入は必須ですが、業務効率化や生産性向上を実現するためのポイントを把握しておくことが大切です。次に不動産業界でCRMシステムを導入する際のポイントをご紹介します。

1.業態に応じたCRMを導入する

不動産会社がCRMを導入する際には、業態に応じたものを選んでください。不動産業は大きく「開発」「分譲」「仲介」「賃貸」「管理」に分けられます。業態に応じて管理すべき情報は異なります。そのため、業態に応じたCRMを導入してください。

2.ヒアリング項目を整備しておく

CRMシステム導入前にヒアリング項目を整備しておき、入力画面の項目に反映させましょう。ヒアリング項目は業態により変わります。以下は「仲介」「売買」の事例になりますので参考にしてみてください。

仲介 売買
  • 不動産の購入動機
  • 不動産購入の予算
  • 希望エリア
  • 希望の間取り(坪数)
  • 希望の築年
  • 駐車場の必要性
  • 購入予定時期
  • 不動産の売却の動機
  • 希望の売却価格
  • いつまでに売却したいか
  • どのように売却したいか(公開・非公開)
  • 不動産売却の経験の有無
  • 保有物件の詳細情報(間取り・アクセス・築年数)

 

3.追客タイミングの通知機能を使用する

不動産の営業活動で「追客」は欠かせないものとなりますが、CRMシステムを導入すれば追客漏れを防止できます。例えば、「内見案内」をした顧客に対しては「案内後の結論取り」をする必要があります。このプロセスをルール化しておき、追客タイミングの通知機能を使用すれば追客漏れを防止できます。

 

4.メールテンプレートを使用する

内見案内の日程調整や、物件紹介などのメール送信業務は、テンプートを使用して効率化しましょう。不動産業界に特化したCRMシステムを導入すれば、不動産業務に特化した豊富なメールテンプレートが用意されています。メールテンプレートを使用すれば、キレイで読みやすいメールが簡単に作成できて、返信率を上げることができます。

 

5.他のデジタルツールと連携する

CRMシステムと下記のデジタルツールを連携させれば、One to Oneコミュニケーションが実現でき、マーケティング強化と営業強化が同時に行うことができます。

  • オンライン商談ツール:オンライン上で商談を実現すれば、営業エリアの拡大が図れる
  • AI搭載型IP電話:通話内容を録音できて、各担当者毎に営業手法を比較でき、営業組織力の向上が図れる
  • LINEWorks:顧客が普段から愛用しているツールを使用することで、早いテンポで商談に進めることができる
  • MA顧客一人ひとりに対して、購買プロセスのフェーズに見合ったナーチャリングが可能になる

6.反響・追客の結果を分析する

CRMを導入すれば「反響分析」「追客分析」「業務集計」を行うことができます。例えば、反響分析で顧客の流入経路を測定すれば、どこに宣伝広告費をかければ良いかが明確にできます。また、反響率・来店率・契約率の歩留まりを分析すれば、アプローチのどこを改善すれば良いかが分かるようになり、PDCAサイクルの改善に役立ちます。

(参考資料:ZOHOCRM「不動産営業の顧客管理」)

(参考資料:いえらぶCLOUD「不動産専門 顧客管理システム(CRM)」)

不動産業界におけるCRMシステム導入の成功事例

最後に、不動産業界でCRMシステムを導入して、業務効率化・生産性向上に成功している事例をご紹介します。 

自動追客でアポ獲得率4倍アップ(遠州鉄道株式会社 不動産事業本部)

遠州鉄道株式会社では、電話対応や事務作業に追われているうちに、追客業務が先延ばしになってしまうという課題を抱えていました。この問題を解決するために、CRMシステムとMRツールを導入して、自動追客やメールテンプレートによる業務効率化を実現しました。また、業務プロセスを明確にして、新人の営業担当者でも、1週間で即戦力になる仕組みを確立させることで、高い来店率が維持できています。アポ獲得率は導入前の4倍にアップと高い効果を出しています。 

(参考資料:イタンジン「仕組み化のしやすさに着目し、追客専門部署で業務フローを次々と改善! 新人スタッフでも高い来店率を実現する遠州鉄道株式会社様」)

お問い合わせの返信スピードをアップ(株式会社山一地所)

株式会社山一地所では、物件の内見後に申込みをもらう場合は、店舗に戻るというプロセスを踏んでいました。「お客様の移動時間や待ち時間を減らすことはできないか?」という課題を解決するために、CRMシステムを導入し、インターネット上で申込ができる営業スタイルに切り替えました。

「新型コロナウイルスの外出自粛の中でも店舗に戻らず、内見見学から申込、契約までワンストップできた」と顧客満足度アップに成功しています。 

参考資料:イタンジン「ITANDI BBとノマドクラウドを併用し、アパマンショップの中で契約件数11年連続第1位。株式会社山一地所様」

スピード感のある対応で顧客満足度をアップ(株式会社ロゴス)

株式会社ロゴスは、地域密着型の不動産会社で、事業の拡大に伴い増える契約書の管理を課題に抱えていました。事務所で契約書を保存しておくと外出先では確認できず、書類確認のために事務所に戻らなければいけません。

この問題を解決するために、顧客情報を契約書を紐づけてCRMシステムで管理することにしました。顧客管理を入念に行うことで、スピード感のある対応が実現でき、顧客満足度アップに成功しています。 

(参考資料:Grab「業界別CRM事例紹介|建築・不動産編【4選】」)

まとめ

不動産業界は、マス広告や折込チラシなどで集客していましたが、インターネットの普及に伴い、デジタルを活用したアプローチに切り替える必要性が出てきています。また、新型コロナウイルスにより非対面ビジネスの推奨が、デジタルを活用したアプローチに追い風を吹かせています。

今後は、デジタルを活用した集客や営業の効率化ができる否かが、不動産会社の売上に大きく関わってくることは間違いありません。そのため、ぜひ、これを機会にCRMシステムを導入を検討してみてください。