【3分でわかる】ゼロからインサイドセールス部門を立ち上げる方法とは?

 新型コロナウィルスの騒動が一段落し、多くの企業が徐々に元の経済活動に戻りつつあります。しかしながら、依然として続くコロナ禍では、新しい生活様式が求められます。小売店などは入場制限を行い、飲食店も過密な状態を避けるように運営しています。

 B2B企業においても、コロナ前と同じように訪問営業することは難しくなっています。たまたま近くまで来たので」や「久しぶりにご挨拶に伺いました」などのいわゆるお伺いで、明確な理由がなく、客先に出向くのはますます難しくなるでしょう。B2B企業は、Withコロナの環境下に相応しい営業スタイルを構築しなければならないのです。

 昨今話題となっている「インサイドセールス」に注目している方は少なくないでしょう。インサイドセールスとは、多くの場合において「見込み顧客と電話やeメール、オンライン会議システムなどを用いて、遠隔でコミュニケーションする営業担当」のことを意味し、単にリモート化させた営業とは似て非なるものです。コロナ前から成長企業の多くが導入しており、これからのコロナと共存する「ニューノーマル」時代において、さらに重要なキーワードになるでしょう。

 ここからは、実際にインサイドセールスを導入する際に重要なポイントを解説し、最後にインサイドセールスをより理解するために役立つ書籍を紹介します。

*インサイドセールス導入の意思決定に役立つ情報として、ぜひ下記の記事もご覧ください。
【10分で理解する】成長企業は何故インサイドセールスを導入しているのか?

インサイドセール立ち上げ時に重要な3つのポイント

インサイドセールス立ち上げのポイント①導入の目的とゴールを設定する

 まず何よりも重要なことは、インサイドセールスを立ち上げる目的とゴールを明確にすることです。

インサイドセールスを単なる内勤営業という風に捉えてしまうと、移動時間や移動コストの削減だけに目を向けてしまいがちですが、その主な目的は“有効案件数(パイプライン数)と成約率の増加による売上の最大化”であるべきです。

 実際にセールスフォース・ドットコムの調査によると、インサイドセールスを導入した企業では「案件数が増加した」「新規顧客数が増加した」だけでなく、他にも「アポの質が上がった」「営業分析に基づく打ち手を出すことが可能になった」「顧客情報の適切な利用ができるようになった」など、データを活用できるようになったことによる業務改善の効果も報告されています。

引用:日本企業の7割がまだ知らない!? 営業の現場力を革新するインサイドセールスとは Vol.2|セールスフォース・ドットコム

 Withコロナの環境下では、最初の一歩は移動コストの削減を目指すことを目的としてもよいかもしれませんが、最終的には売上の最大化を目的とした営業組織の構築を目指す必要があります。

インサイドセールス立ち上げのポイント②組織づくり

 組織づくりにおいては、組織のタイプアサインするメンバーを初めに検討すべきです。一言でインサイドセールスといっても、インサイドセールスの目的や役割によって、どのように営業組織の中に組み込むかが変わってきます。大きくは下記の3つに分けられます。

  1. Team(分業モデル)
  2. Hybrid(協業モデル)
  3. Independent(独立モデル)

1.Team (分業モデル) 

 インサイドセールスの役割はリードナーチャリング、及びヒアリング・アポイント、フィールドセールスの役割はセリング・クロージングと明確に分けられます。

2.Hybrid(協業モデル)

 インサイドセールスは主にリードナーチャリング、およびヒアリング・アポイントを行うが、必要に応じてセリング・クロージング(対面の訪問販売も含む)まで行います。

3.Independent (独立モデル) 

 インサイドセールスがリードナーチャリング〜セリング・クロージングまで一貫してリモートで行います。

 それぞれのタイプのメリット・デメリット、また自社の組織がどのタイプを導入すべきかについては、「Vol.2 インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用」をご参照ください。

 インサイドセールスのリーダー(責任者)として誰をアサインするかという問いに対しては、多くの場合フィールドセールスの責任者、またはエースクラスの営業担当者というケースが多いです。

 何故なら、インサイドセールスはマーケティングやフィールドセールスなど、他部門との円滑なコミュニケーションが必要で、他部門からの信頼を得ていてコミュニケーションスキルにも長けていることが求められるからです。

 このとき、組織として注意すべきことは、インサイドセールスがフィールドセールスの下に位置するようにしないことです。まるで都落ちのように見えてしまうと、当然担当者のモチベーションに悪い影響を与えてしまいます。

 確かに、インサイドセールスはフィールドセールスのための教育機関と位置づけられることがあります。しかしながら、インサイドセールスが組織上どれだけ重要であるかをしっかりと理解させることが肝要です。

 インサイドセールスの位置づけと担当者が決まったら、詳細な業務プロセスを描き、各部門や各業務に対するKPIを設定していくことになります。

 このKPI設定は特に重要です。メンバーレベルの話では、例えばインサイドセールスとフィールドセールスを兼任するような場合に、契約数というKPIを持っていると、顧客の興味を醸成するというインサイドセールスとしての役割がおざなりになります。

 各役割によって異なるKPIを設定することが、組織を機能させるポイントでもあります。この段階の詳しい内容については、下記記事を参考にしてください。

インサイドセールス立ち上げのポイント③トークスクリプトを作るべき?

 インサイドセールスを構築する上でよく聞かれる、トークスクリプトを作るべきかどうかについて説明したいと思います。ご存知の通り、トークスクリプトは営業電話やテレアポなどの業務において、顧客と話す際にお手本となる台本のことです。

 トークスクリプトは、新規開拓のテレアポの場面ではよく使われますし、目的によっては有用だと考えられます。一方で、顧客の興味を醸成する場面では、決まりきったスクリプトはあまり効果的ではありません。単にYes/Noをなぞっていくだけのスクリプトは尋問のようになり、顧客ごとに適した会話につながらないからです。そのため、インサイドセールスの役割やそのときの目的に応じて使い分けるのが理想でしょう。

新規開拓型=トークスクリプト

 新規開拓型に近い役割のインサイドセールスをする時には、供給するアポの質がバラバラにならないことが重要です。そのため、同一トークかつ同一レベルのリードで創出したアポイントを供給していきます。それも1回目の電話の内容だけでなく、2回目、3回目にどのような内容を話すかのシナリオを作成するとよいです。

顧客醸成型=会話のフロー

 顧客醸成型では、分岐や話すこともパターン化ができなくなるため、細かなトークスクリプトではなく、大まかな会話の流れ「会話のフロー」を作るべきです。顧客に合わせて質問内容を自分で考え、相手の興味関心に合わせて会話を展開するスキルが重要です。

 いずれにしても、会話内容や質問内容についてのPDCAを必ず回すことが重要です。新規開拓であれば何件アプローチした結果、何件コンタクトを取れたのかなど、常に数字を見ていきます。少しでも数字が落ちてきたら、トーク内容を変えるなどして改善していく必要があります。

インサイドセールス立ち上げの際に読みたいおすすめの本

 最後にインサイドセールスを立ち上げる際に、参考として読んでおきたいおすすめの書籍を紹介します。

THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス

 言わずとしれたセールスフォース社が世に広めたThe Modelを用いた、営業組織の作り方と実践ノウハウが凝縮されています。著者はそれぞれ日米のオラクル社、セールスフォース社を渡り歩いた福田康隆氏。インサイドセールスを立ち上げる上では絶対に外せないバイブル的な書籍です。

ノヤン先生のマーケティング学

 日本有数のBtoB専業マーケティングアウトソーシング企業、シンフォニーマーケティングが運営する「マーケティングキャンパス」内の人気連載「ノヤン先生のマーケティング講座」の書籍化。著者は同社代表の庭山一郎氏。インサイドセールスに特化した内容ではないが、BtoBマーケティング全体を深く理解する上で必携の一冊です。

 ここまで、インサイドセールスの導入を検討している方に向けて、初めの一歩として必要なステップをご紹介しました。次回はインサイドセールス部門の人事・採用にフォーカスする予定です。

また、営業力を強化する方法、インサイドセールスの導入及び効果的な運用については、E-Bookに記載しましたので、ダウンロードしてお役立てください。