アフターコロナ時代を生き抜く鍵を握るインサイドセールスとは?

「アフターコロナの世界でビジネスはどう変化するか」。すでに各方面で議論されているこのトピックについて、Sales Hackerでは「アフターコロナにおけるBtoBの営業活動」にフォーカスして考察してみます。

またビジネスの変化に対して、インサイドセールスがどのように寄与するかについても考えてみたいと思います。

アフターコロナで変わるBtoBビジネス

企業の購買行動の変化

営業組織がどう変わるかを理解するには、ビジネス全体において、顧客がどう変化するかを理解する必要があります。新型コロナウィルスをきっかけに私たち消費者の購買活動が大きく変化しているのと同様に、企業の購買行動にも大きな変化が起きる、あるいはすでに始まっています。大きなポイントは下記の2点です。

・コストに対してよりシビアに

私たちが先行きが不透明な状況で生活必需品以外の消費を抑制するのと同様、企業も必要不可欠な購買を控えることになるでしょう。

ビジネス オペレーションを維持するためのもの、または短期で収益の増加が望めるもの、圧倒的なコスト削減を達成できる以外の、中長期的に必要な投資は控えることになるでしょう。

・購買が長期化

購買対象に対してよりシビアになるということは、当然購入の検討期間も長期化します。企業はその製品の機能や信頼性について、今までよりも厳しく精査することになるでしょう。

また、一般にBtoBの購買意思決定には多くの人数が関与します。今後もオンラインでの勤務が増える場合には、彼らが多拠点に分散することでさらにプロセスが長期化する場合もあるでしょう。

さすがに、リモートが一般的になった世界で、印鑑と稟議書に時間を費やすことはにと信じたいものです。

デジタルトランスフォーメーションの加速

ようやく、デジタルトランスフォーメーション元年がやってくるのかもしれません。DXと盛んに言われながらも、国内の企業は及び腰でした。新型コロナウィルスが強制したかたちで、日本のDXが加速することになるでしょう。

リモートワークの普及を指してDXの実現と呼ぶわけではありませんが、リモートワークがこれまでの不効率な業務を洗い出したのは事実です。

また、効率化以外にもBCPの面でDXへの投資は増えると予想できます。事実、eMarketerは下記のように述べています。

「ソフトウェアレビューサイトTrustRadiusが3月中旬に実施したメール調査では、世界中のソフトウェア購入者に、COVID-19が支出にどのような影響を与えると予想するかを尋ねた。10人中4人が、従業員が限られた時間で在宅勤務ができるようにするために、少なくとも最初のうちは支出を増やすと回答している。同じ調査では、回答者の30%がビデオ会議ソフトを購入し、15%がリモートワーク中に会社の情報を保護するためにVPNやファイアウォールなどのセキュリティソフトを購入していることがわかった。」(引用の上翻訳:How B2B Buyer Behavior Has Changed in Light of COVID-19, and What Marketers and Sellers Can Do Now|eMarketer)

また、MarTech Seriesは、米ITベンダーEpiserver社の調査を引用して下記のように述べています。

「2020年3月に実施されたBtoB企業のIT、Eコマース、マーケティングの各部門の意思決定者600人を対象とした調査によると、回答者の41%が、オンラインで顧客に直接販売することが来年のビジネスにとって最も重要な機会であると考えており、次いで新しい地域への進出(37%)、デジタル販売ツールの提供(36%)となっている。景気後退にもかかわらず、BtoB組織の85%が来年はデジタルエクスペリエンスの予算が増えると予想している。」(引用の上翻訳:Survey: B2B Leaders Burdened by Bad Customer Relationships, Bullish About Digital Experience Budgets Despite COVID-19 Crisis|MarTech Series)

コロナ以前の状況として、平成31年の東京都産業労働局の調査*によると、リモートワークを導入しない理由のトップは「リモートワークに適した仕事がないから(67.6%)」でした。*多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)|東京都産業労働局)

例えば「営業は直接対面ですべき」という不文律がありました。

しかし、DXが進んだ社会においては、今回の災害時のようにリモートでの商談に対する許容度を著しく引き上げます。恐らく購買側は購買検討段階のほとんどと、一部は契約までオンラインで完結するでしょう。

これは景気がしばらく後退する状況において、生産性を高めたいベンダー側にとっても効率的です。

アフターコロナで生まれる営業活動の課題

BtoBのビジネスが変わると、営業組織にとってどのような問題が起こり得るでしょうか。リードジェネレーションとリードナーチャリング〜クロージングの2つにフェーズを分けて課題を挙げてみます。

リードジェネレーションの課題

当然考えられるのは、オフラインイベントやセミナーの縮小です。緊急事態宣言が解除されたとしても、短期的に大規模なイベントは開催が危ぶまれるでしょう。

顧客側には心理的な障壁があるでしょうし、何より景気が後退している状況では、積極的な購買活動は控えられることが予想できます。またベンダー側も一度に数千万円の投資が適切かどうか懐疑的です。

予算の問題と効率的な活動を考慮すると、予算はオンラインの広告やオンラインカンファレンス、ウェビナーなどへシフトしていくでしょう。

そのとき、多くのベンダーは自社にはオンライン上に優れたコンテンツがないこと、オンラインのプレゼンスが低いことに気がつくはずです。

企業の購買が慎重になればなるほど、信頼できる正確な情報を欲するものです。あなたの企業は、オンラインの体験を最適化できていますか?

リードナーチャリング〜クロージングの課題

リードの獲得以降をフィールドセールスが実施している、旧来型の営業組織を考えてみましょう。これまで、頻繁に見込み顧客のもとに訪問して、いわゆる「お伺い」を繰り返してきました。

ところが、いつものように電話してみると、購買側は突然「忙しいからオンラインでやってくれ」と言うかもしれません。

DXが加速した将来においては、購買プロセスの大部分をオンラインが占めることが予想できます。そのときに、これまでと同じ営業方法で同じ結果が生まれるでしょうか。

アフターコロナの鍵を握るインサイドセールスの価値

上記の課題解決の鍵はインサイドセールスが握っていると考える理由は2つです。

インサイドセールスによる顧客分析力

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスと分業化された営業組織において、最も多くの顧客とコミュニケーションするのはインサイドセールスです。

つまり最も顧客の情報を握っているインサイドセールスが、マーケティング施策へのフィードバックを与えるための顧客分析をリードできます。マーケティングはこのフィードバックをオンラインのプレゼンス向上に活かすことができます。

ナーチャリング〜クロージングの課題については、インサイドセールスはオンラインでの商談に対応できるケイパビリティを当然持っています。今後はインサイドセールスがクロージングまで行うケースが増えてくるでしょう。

そのときに、インサイドセールスにとってのチャレンジになるのは、経営戦略全体への示唆です。仮に多くの企業の購買力が下がるのであれば、価格を含めた製品自体のフィードバックが必要かもしれません。

アフターコロナは間違いなく「生き残り」のフェーズです。誰も正確に予測できず日々状況が変わる中において、顧客の声を聞く事がますます重要になります。経営戦略全体に対する示唆も、インサイドセールスの分析力に期待される役割ではないでしょうか。

アウトソースのインサイドセールスを提供するN3社は、マイクロソフト、IBM、シスコなどのクライアントに向けて、複数のオフィスで200人以上のインサイドセールスを募集したと発表しています。

この事実は、今後の企業の成長の鍵をインサイドセールスが握っていることの大きなエビデンスになりそうです。

最後に

先行きが見えない不安の中、多くの企業が苦しんでいることと思います。ウィズコロナ時代を生き抜くことがまず先決ですが、アフターコロナを考えるのに早すぎることはありません。

確実な未来を予測することは難しいですが、生産性の向上に対してインサイドセールス型の営業組織が寄与することは間違いないでしょう。

また、営業力を強化する方法、インサイドセールスの導入及び効果的な運用については、E-Bookに記載しましたので、ダウンロードしてお役立てください。