インサイドセールス部門を上手く稼働させるためには、KPI(Key Performance Indicator)が必要不可欠です。
KPIは「重要業績評価指標」と訳され、インサイドセールス部門が適切に運営されているか、数値で評価するためのものです。KPIを具体的に設定しておけば、理想通りにインサイドセールス部門が運営できているかを把握できるようになります。実際に、どのような数値を設定すればよいのでしょうか?
この記事では、インサイドセールス部門を上手く稼働させるためのKPI指標について解説します。
インサイドセールスには、SDR(sales development representative)とBDR(Business Development Representative)があり、SDRは、反響型のインサイドセールス組織です。Webサイトやウェビナー等のオンライン、展示会のオフラインで獲得したリード(顧客リスト)に対してアプローチを行い、商談を案件化していく役割を担います。BDRは、新規開拓型のインサイドセールス組織です。ターゲット企業に対して、アウトバウンドコールやメールなどでアプローチを図ります。それぞれの組織についての指標については以下述べたいと思います。
目次
【SDR】インサイドセールスの指標
SDR部門の運営のために必要となるKPIは、主に以下の通りです。
リード数
SDRは反響型営業となるため、リード数を確認します。どのチャネルから、どの程度のリード数が入ってきているかを確認しましょう。このときに、リードの量だけではなく、品質に問題がないかを確認してください。
リード確認は、マーケティング部門の役割範囲ですが、リード数の減少や品質低下は死活問題です。異常値が出た場合は、マーケティング部とミーティングを実施して、早急に改善をしましょう。
リードの品質に関しては、1ヵ月単位、四半期単位、1年単位で見直しを図ります。どこのチャネルからのリードが、成約に至りやすいか見直すことで、商談獲得単価が下げられます。
アクション数
SDRは、活動量(メール送信数+架電数)が結果に直結するため、アクション数に関しても目標を設定してください。目標に設定したアクション数を維持し続けながら、SDRチームを運営していく必要があります。
アクション数を維持できれば、営業データを分析して営業手法を見直せば効果が出ます。しかし、アクション数が目標数値を達成できない場合、SDR部門のモチベーションが低下している恐れがあります。アクション数が低下したときは注意が必要です。
従来までは、活動量の中でも架電数が重要指標でした。しかし、新型コロナウイルス蔓延に伴うお客様の行動変容により、架電の接続率が下がってきています。そのため、架電数とメール送信数を合計した数値をアクション数と捉えましょう。
商談獲得数
SDRメンバーの成熟度によって、商談獲得数の結果は変動します。そのため、商談獲得数は、事業フェーズやメンバーの成熟度に合わせて、目標値を見直していく必要があります。
有効リード数やアクション数に変動はないものの、商談獲得数が上がらない場合は、営業データを解析して営業手法を見直す必要があります。SDR部門が健全に運営できているかを判断するためにも、商談獲得数のKPI指標を定めておきましょう。
受注数貢献度
SDRが、自社の売上にどの程度、貢献しているかをメンバーに伝えてあげてください。SDR部門に絞り込んだKPI測定だけではなく、会社への受注数貢献度を明示することで、各メンバーのモチベーションを上げることができます。SDR部門として最終的な評価は受注貢献度で測定しましょう。受注数貢献度は「SDR部門での受注数÷社内全体の受注数」で計算できます。
(参照:HubSpot「28 KPIs Every Sales Manager Should Measure in 2021」)
【BDR】インサイドセールスの指標
BDRのKPIは、次の通りになります。
リスト数
BDRは、新規開拓営業がメイン業務となるためリスト数が重要です。リスト数が多くても、ターゲット顧客でなければ意味がありません。そのため、マーケティング部門と連携をして、ABM(アカウントベースドマーケティング)の施策を実施し、ターゲット顧客のリストを獲得しましょう。リスト数が枯渇しないように管理して、随時更新してください。
フォロー完了数
メール送信や架電をしてフォローした件数を管理してください。BDRはSDRと比較すると、商談獲得までの時間が長くなります。そのため、定期的なフォローを欠かすことができません。フォロー方法として「C×Oレター」がおすすめです。
C×Oレターとは、ターゲット顧客が抱えている課題を解決するための方法や、役に立つ情報を提供することをいいます。このような情報を提供することで、商談獲得の機会に繋げているのです。
また、フォローをしても商談獲得に繋がっていない場合は、蓄積した営業データを解析してください。どのようなアプローチ方法が商談獲得に繋がっているかを確認して、各メンバーに共有しましょう。このような働きがけが、BDR部門の組織全体の底上げに繋がります。
商談獲得数
SDRと比較すると商談金額が大きくなることが多いため、商談獲得数と並行して商談単価も管理しておきましょう。商談単価を上げたい場合は、大企業を狙ったり、上位役職へアプローチをしたりする必要があります。基本的に、BDR運営歴が長くなるほど、商談獲得件数と商談単価は上がっていくものです。
受注数貢献度
BDRが、自社の売上にどの程度、貢献しているかをメンバーに伝えてあげてください。BDR部門に絞り込んだKPI測定だけではなく、会社への受注数貢献度を明示することで、各メンバーのモチベーションを上げることができます。BDR部門として最終的な評価は受注貢献度で測定しましょう。受注数貢献度は「BDR部門での受注数÷社内全体の受注数」で計算できます。
(参照:Linked in「KPI’s for Inside Sales that REALLY matter」)
【管理職】インサイドセールスの指標
SDRとBDRのKPIについて解説しました。これらの部門を健全に運営していくために、管理職の方は何を意識すれば良いのでしょうか?さまざまな業務を担当する管理職は、常にチームメンバーを監視することは難しいです。しかし、特定の指標を管理すれば、インサイドセールスの健全な運営を実現できます。以下の指標を管理するようにしましょう。
売上金額
SDR部門やBDR部門の売上金額を確認してください。会社全体の売上貢献度は、各部門にフィードバックをしてあげることによって、チームメンバーのモチベーションを高められます。
また、売上金額を把握する場合は、チャネル別に細分化してください。売上が計上されているチャネルに投資をすることで、費用対効果を上げられます。
既存顧客エンゲージメント
自社商品やサービスを販売したら終わりではありません。長期的なビジネスをしていくためには、既存顧客との良好な関係構築が必要不可欠です。そのため、既存顧客のフォローができているかを確認してください。既存顧客とのタッチ数が増えるほど、リピート率が上がると言われています。少なくとも、四半期に1度は、既存顧客と接点を持つようにしましょう。
従業員満足度
SDRやBDR部門で、成果を出すためには、各メンバーのモチベーションを上げる必要があります。しかし、従業員満足度は数値化が難しいです。企業の中には、匿名のアンケート調査を実施して従業員満足度を測定しているところもあります。
従業員満足度を上げる方法としては、従業員のアイデアに耳を傾けて、良いものを承認していくこと。商談獲得の結果が出ていない従業員のフォローをすること。新たな目標を立てて上げることなどが挙げられます。
アップセル・クロスセルの率
SDRやBDR部門が成果を出したら、アップセル(現在のモデルよりも上位モデルに乗り換えてもらうこと)やクロスセル(別のモデルを購入してもらこと)の売り込みに繋げていきましょう。「いつ」「どのように」「何」「誰が」を把握していき、アップセルとクロスセルの率を高めていきます。
商談獲得までのリードタイムの短さ
インサイドセールス部門の健全な運営のためには、販売サイクルの長さを測定することも大切です。とくに、新規開拓型のBDRは、販売サイクルが長くなりがちです。そのため、指標を定めることが必要不可欠となります。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(顧客生涯価値)とは、顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のことを指します。顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益を把握しておくことで、既存顧客のフォローの重要性に気付くことができます。新規顧客獲得には、莫大な費用がかかるため、既存顧客との関係を大切にしましょう。
(参照:HubSpot「28 KPIs Every Sales Manager Should Measure in 2021」)
まとめ
今回は、インサイドセールス部門の健全な運営に必要不可欠なKPIの設定方法をご紹介しました。最後に、KPI設定方法を、おさらいしておきましょう。
- SDR部門:リード数>アクション数>商談獲得数>受注数(貢献度)
- BDR部門:リスト数>フォロー完了数>商談獲得数>受注数(貢献度)
また、インサイドセールス部門の管理職が意識したい指標は、次の通りです。
- 売上金額
- 既存顧客エンゲージメント
- 従業員満足度
- アップセル・クロスセルの率
- 販売サイクルの長さ
- LTV(顧客生涯価値)
いかがでしたでしょうか?ぜひ、各指標について理解を深めて、実際に目標数値を立ててみてはいかがでしょうか。