自動車業界でオンライン販売が拡大!オンライン販売を実現する注目の営業方法とは?

自動車メーカーは、ディーラーに目標を与えて、達成状況に応じて報奨金を支払う販売スタイルを主流としていました。しかし、2019年にテスラ社がオンライン販売に完全移行すると発表して、業界に大きな衝撃を与えました。

ディーラーと連携せずに自動車販売をオンライン化すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?どのようにオンライン販売を実現すれば良いのでしょうか?

自動車業界で注目を浴びるオンライン販売

自動車業界でオンライン販売が開始されるようになってきていますが、最初に各メーカーの動向を確認しておきましょう。

テスラ 自動車販売の完全オンライン化を発表
メルセデスベンツ 2025年までに新車販売の25%をオンライン化すると発表
ボルボ・カーズ・ジャパン 2021年度から電気自動車の販売をオンライン化※売買契約と決済業務は販売代理店で実施
ホンダ 2021年から新車の販売をオンライン化。新車のサブスクリプションサービスを提供
トヨタ ビジネス再編を考案中※現在はシェアリングサービスなどに注力2021年度から米国でオンライン販売を実施

上記の表から分かるように、自動車のオンライン化に積極的なのは海外メーカーです。国内メーカーはシェアリングサービスなどビジネス再編に力を入れていることが伺えますが、海外メーカーの影響を受けて、新車の販売をオンライン化するメーカーも登場してきています。

参考:Yahoo!JAPANニュース『車の「オンライン販売」なぜ増えた? メーカー側のメリットと、実店舗との棲み分け問題を考える』

 自動車業界がオンライン販売に取り組むべき理由

自動車業界でオンライン販売に注力する動きが出ていますが、なぜなのでしょうか?ここでは、自動車メーカーがオンライン販売に取り組むべき理由について説明します。

自動車の価格が抑えられて競合優位性に立てる

自動車メーカーがオンライン販売に取り組めば、ディーラーに販売を依頼する必要がなくなります。ディーラーに自動車販売を依頼すると、販売目標達成に応じた報奨金を支払わなければいけません。その分、自動車の価格を上げてしまうと、消費者に選ばれなくなってしまいます。

世帯年収の低下やシェアリングサービスの登場でマイカー離れが深刻化している中、自動車の価格を抑えることは必須です。そのため、ムダな経費を抑えて、購入しやすい価格の自動車を開発していかなければいけません。このような背景により、オンライン販売に取り組むメーカーが増えているのです。

販売費用を開発費用に割り当てられる

ディーラーに支払う報奨金など販売費用を削減できれば、自動車の開発費用に割り当てられるようになります。自動車に搭載するソフトウェアの開発や新機能の開発などをして、競合他社の自動車よりも優位性を出せれば、より多くの消費者に選んでもらえるようになるのです。

売上を伸ばしている自動車メーカーは、自社製品が競合製品より優位に立つための営業戦略を立てています。この戦略に充てる開発費用に経費を多く割り当てることが、これからの自動車メーカーには求められていきます。

事前予約数を新車の生産計画に反映できる

オンライン販売で新車の告知をして事前予約をしてもらえれば、新車の生産計画が立てやすくなります。この生産計画がズレてしまうと、経営に大きなダメージを与えてしまうことになりかねません。ステークホルダーからも信用を失ってしまうことでしょう。

しかし、オンライン販売で事前予約された件数を新車の生産計画に反映できれば、このようなトラブルにも備えられます。

販売プロセスの効率化が実現できる

ディーラー側は、潜在顧客を発掘しコミュニケーションによって顧客ニーズをヒアリングし、商品提案や価格などの条件を交渉して販売をまとめてきました。消費者により価値観は異なりますが、自動車を購入する前の検討期間は長くなりがちです。

2週間程度で決める方もいれば、3年間も検討する方がいます。このような消費者一人ひとりに対面営業をしていると大変です。お客様の意思決定がされたタイミングでアプローチできなければ、契約を取ることも難しく、これまで機会損失をしていたケースも多かったものと思われます。このような問題も、詳しくは後述しますが、オンライン販売に切り替えることで、簡単に解決できます。

参考:現代ビジネス『テスラの成功が示した「営業マンはもういらない」の残酷な現実』

自動車のオンライン販売を行う際の流れ

オンライン販売はメリットがありますが、どのように切り替えればよいのでしょうか?ここでは、自動車のオンライン販売を行う際の流れをご紹介します。自動車をオンラインで販売する場合において「マーケティング部門」「インサイドセールス部門」「カスタマーサポート部門」の連携が必要です。ここでは、それぞれの部門の役割や業務内容をご説明します。

マーケティング部門

マーケティング部門の役割は、新規顧客の開拓や見込み顧客の獲得です。以下のようなオンラインマーケティング施策を行い、見込み顧客を獲得していく役割を担います。

【マーケティング業務】

  • SNS向けのコンテンツを企画
  • デジタルマーケティングにおけるキャンペーンの企画および実行
  • 消費者に対してブランドへの認知度を上げるための啓蒙
  • トラフィックを分析し、すべてのデジタルチャネルでのマーケティングキャンペーンの効果を測定
  • プロジェクト管理と、外部のニュースレター、販促資料、顧客とのコミュニケーションの初期のクリエイティブ制作企画
  • マーケティング、イベント、PR活動についてターゲットを絞った計画を作成
  • 既存のリードに対して段階を深化させ、新しいリードを創出するためのプログラムとキャンペーンの開発

インサイドセールス部門

インサイドセールス部門は、マーケティング部門が獲得した見込み顧客に電話やメールをして、良好な関係を構築する役割を担います。オンライン販売で自動車を購入する際に、疑問点や懸念点が出てくることがあるでしょう。このような顧客に対してアプローチをして、悩みを解決してあげます。

また、新車の最新情報をお届けするなどして、購買意欲を高めるなどもインサイドセールス部門の役割となります。

[インサイドセールス業務]

  • 見込み顧客の情報を一元管理する
  • 見込み顧客をセグメント化する
  • セグメント化した見込み顧客に、最適なアプローチをして良好な関係を築く
  • 顧客の見込み度をスコアリングする
  • 見込み度の高い顧客にアプローチしてクロージングする 
  • テクニカル部署と連携を取り、製品に関する最新の売りポイントを理解する
  •  CRMシステムを活用・更新し、情報の正確性を保証する
  •  ウェブサイトの改善を提案する
  •  シニアマネジメントの協力が必要な事柄を迅速にエスカレーションする
  • 製品購入プロセスの改善へ継続的に取り組む

カスタマーサポート部門

カスタマーサポート部門は、自動車を購入したお客様からの質問やクレームに対応する役割を担います。電話やチャット、メールから寄せられるお問い合わせに丁寧に対応して、顧客が抱える課題を解決に導きます。

【カスタマーサポート業務】

  •  電話及びEメールを利用したカスタマーサポートを行う
  •  お客様のニーズを分析した上での、クリエイティブかつ自発的な対応を行う
  •  全てのサポートアクティビティに対して最適なアクションの決定
  •  サービスセンターやドライバー業者などに、お客様の案件と問題を的確に伝達する
  •  案件の的確な記録

[自動車業界]オンライン販売を行う場合のポイント

自動車業界でオンライン販売をする方法を説明しましたが、ポイントを押さえておかなければ失敗に終わります。どのような点に気を付けるべきなのでしょうか?ここでは、オンライン販売を行う場合のポイントをご説明します。

 組織全体で情報を共有する

「マーケティング部門」「インサイドセールス部門」「カスタマーサポート部門」の部門間連携を実現するためには、組織全体での情報共有が欠かせません。

顧客情報や対応履歴を共有することで「どのようなお客様なのか?」「いつ自動車を購入したのか?」が明確になり、最適なアプローチができるようになります。そのため、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入して、情報を蓄積して共有していきましょう。

近年では、通話内容や商談内容を記録する企業も増えています。このような情報を共有しておけば、どのようなお客様かを具体的に伝えることができます。

KPIを設定して定期的に業務を見直す

オンライン販売(オンライン営業)を3部門で連携して行う場合には、組織全体と各部門のKPIを設定しておきましょう。なぜなら、営業活動を見直す際に「どの程度、目標数値に達していないのか?」「何が原因なのか?」を考えられるようになり、PDCAを回していけるようになるためです。そのため、組織全体と各部門のKPIを定めておきましょう。

従業員に営業プロセスの分業化の魅力を伝える

異なる業務に従事をしていると、部門間の仲間意識が薄れてしまう恐れがあります。仲間意識が薄れて各部門の分断が起きると、顧客満足度の高いサービスは提供できません。

そのため、営業プロセスを分業化する魅力を従業員に伝えて、組織全体が同じ方向を向くように促しましょう。組織全体のビジョン・ミッション・バリューを定義しておくと組織全体の団結力が上げられます。

デジタルツールを導入する

各部門で連携してオンライン販売を実現していくために、デジタルツールは欠かせません。部門間の連携を強化したり、業務効率化を実現したりするために、以下のようなデジタルツールを導入しましょう。

CRM(顧客管理システム) 顧客情報を管理・共有するためのシステム
SFA(営業支援ツール) 各担当者の営業進捗や結果を管理するためのツール 
MA(マーケティングオートメーション) 顧客リストへメールを送信するなどの業務を自動化するツール 
AI搭載型IP電話 顧客との通話内容を記録・データ解析するための電話
オンライン会議ツール 遠隔地にいる顧客とオンラインで商談するためのツール

[自動車業界]オンライン販売の成功事例

自動車メーカーで急成長しているのが、EV自動車を販売するテスラ社です。2021年の世界販売台数は、新記録となる93万6,172台で、前年実績の49万9,550台から1.8倍という記録を出しました。

テスラ社はオンライン販売に注力して、ディーラーに支払う中間マージンをゼロにしています。また、SNS運用を積極的に行って見込み顧客を獲得しており、不必要な宣伝広告費の削減にも徹底しています。このような取り組みで、消費者が購入しやすい自動車価格を実現しているのです。

また、販売費用を開発費用に割り当て、自動車に搭載するソフトウェアや新機能の開発にも注力しており、競合他社と異なる独自性を持った自動車を販売しています。このような取り組みにより、テスラ社は事業成長に成功しています。

参考:現代ビジネス『テスラの成功が示した「営業マンはもういらない」の残酷な現実』

(参考:https://en-ambi.com/job/j-3299463/)

(参考:https://en-ambi.com/job/j-3299452/)

(参考:https://en.wizbii.com/company/tesla/job/digital-marketing-specialist-hong-kong-full-time)

 

まとめ

今回は、自動車業界で注目を浴びるオンライン販売について詳しく説明しました。従来のディーラー販売からオンライン販売に切り替えると以下のようなメリットがあります。

  • 自動車の価格が抑えられて競合優位性に立てる
  • 販売費用を開発費用に割り当てられる
  • 事前予約数を新車の生産計画に反映できる
  • 販売プロセスの効率化が実現できる 

海外メーカーのテスラ社は、完全オンライン化を宣言し、業界に大きな影響を与えました。この記事では、オンライン販売に切り替える方法まで解説したため、これを機会にオンライン販売を開始してみてください。