リモートワークをする場合の環境整備について

はじめに

新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大をきっかけに、リモートワークの導入を進めようとしている企業は増えてきていますが、その移行に苦戦しているケースが多いようです。

この記事では、リモートワークをする場合の環境整備についての課題と、その解決方法について解説していきます。

リモートワークで課題になることとは?

リモートワークを行う上で、どのような課題が生じるでしょうか?

通信環境や作業環境の問題、社内システムへのアクセスについての問題等、リモートワークならではの課題が生じています。

課題1:通信環境の問題

リモートワークで必須となるのが、ネット環境の構築です。

GMOインターネットグループが従業員を対象に行った在宅勤務に関するアンケートによれば、「一般事務・管理部門・営業管理部門」で業務に支障がみられ、その原因として「ネット環境が悪く遅い、アクセスできない」が挙げられています。

パロアルトネットワークス社による、国内企業の意思決定者を対象にしたテレワークに関する調査においても、課題の最上位に、「通信が遅くなったり重くなったりすることがある」が挙げられています。

ネット環境が悪いと業務に支障をきたすだけでなく、作業効率や快適性、モチベーションにも大きく影響します。

課題2:作業環境の問題

GMOインターネットグループによる前掲アンケートによれば、「椅子や机、パソコンなどがないことによる作業効率低下」も課題として挙げられています。

コロナ禍をきっかけに、リモートワークを導入しなければならなくなった企業の場合、従業員の在宅勤務環境が整っていないケースは多いことでしょう。

長時間作業を行ったり集中力が求められる業務の場合は特に、オフィスで使うような椅子や机、パソコンが無いことによって、作業効率は低下することでしょう。

 

課題3:社内環境・社内情報へのアクセスに関する問題

業務によっては、リモート環境から社内の情報に直接アクセスする必要が生じることもあることでしょう。

約470社の国内中堅企業を対象にデル・テクノロジーズが行った「IT投資動向調査追跡調査」によれば、63.9%の企業がリモートワークを実施しているにもかかわらず、60.7%もの企業がセキュアな接続環境がないため社内情報にアクセスできていないという実態が明らかになっています。

外部から社内情報へのアクセスを可能とするシステムを構築するのは手間やコストがかかります。専任のIT担当者がいない企業ではさらにハードルが高くなるでしょう。現状では、リモート環境から社内の情報に直接アクセスさせないようにしているケースが多く、生産性に問題が生じています。

(参考:https://www.aspicjapan.org/asu/article/2730)

課題4:家族への配慮、個人携帯から社外へ発信することへの抵抗

株式会社オカムラが行った「新型コロナウイルス感染症対策としての在宅勤務における働く環境の調査結果」によれば、家族もリモートワークを行っている場合、下記のような問題が生じているものとしています。

  • Web会議や電話をする際の騒音問題
  • 子供が自宅にいる場合、育児が負担になり業務に支障が生じている

また、リモートワークを手軽に導入する最も簡単な方法が個人のスマートフォンを使用することですが、個人が所有するスマートフォンを業務で使用するBYOD(Bring Your Own Device=自分のデバイスを持ち込む)には、下記のような問題があります。

  • 情報漏洩と持ち出しリスク
  • 電話番号など従業員の個人情報やスマートフォン内のデータの管理、プライバシー侵害
  • 通信料金や通信環境

BYODで大きな課題とされるのが、情報セキュリティについてのリスクです。従業員がプライベートでアクセスしたサイトやアプリのインストールでウイルスに感染する恐れがあり、それによって情報漏洩が生じてしまいます。

(参考:https://note.com/pikkitk/n/nfaa2285a7782)

課題を解決する方法とは?

通信環境、在宅勤務環境の整備、社内情報へのアクセス、家族への配慮など、リモートワークにおける上記のような課題に悩んでいる企業は少なくありません。

しかし、一つ一つの課題を解決することで、より快適にリモートワークを行うための環境を整えることが可能です。ここからは、課題の解決方法について詳しく解説します。

通信環境の整備

リモートワークで挙げられる支障の多くは設備面の問題であり、中でも通信環境の問題が多いです。

消費データ通信量が多くなるWeb会議ツールを頻繁に使用する場合は、ポケットWiFiではなくネット回線を引くことをおすすめします。通信速度が最も早く、快適性を追求するのであれば光回線が良いでしょう。

社内システムを社外からでも安全に利用する方法としては、インターネット上に仮想の専用線を設けるVPN(Virtual Private Network)を利用する方法があります。

手配に時間がかかってしまうため、すぐに導入が難しいという場合、Amazonが手掛けているクラウドコンピューティングサービス「AWS VPN」などのマネージドサービスを活用することで、セキュアな環境をスピーディーに構築可能です。

(参考:https://selectra.jp/telecom/guides/knowledge/internet/telework)

在宅勤務環境の整備

リモートワークのための作業場所の確保を行ないます。

作業時間にもよりますが、長時間同じ場所で作業をするのであれば、疲れにくいオフィスチェアなどを使った方が集中できます。

Web会議を行う場合には、ビデオ通話のためにカメラ付きのモニターが必要です。ビデオ通話では背景もある程度映り込むことになるため、相応しい場所を選ぶ必要があります。

マイクが音を拾ってしまうため、雑音が入らない場所であることも大切です。

通話はパソコンやスマートフォンのマイクとスピーカーでも可能ですが、よりクリアな音声で通話するためにもヘッドセットを用意しましょう。

ヘッドセットには無線接続のものと有線接続のものがありますが、音声の劣化や遅延が少なく、電子レンジや周囲のWi-Fiから出る電磁波の影響を受けにくい有線接続のもの(USB接続タイプ)で、ノイズキャンセリング機能が付いた両耳ヘッドセットがおすすめです。

(参考:https://product-senses.mazrica.com/senseslab/tool-reviews/remotework-tool,

https://tech-camp.in/note/pickup/84152/ ,https://support.miitel.jp/hc/ja/articles/360042253071-リモートワーク体制構築時の懸念点を解消

家族への配慮、個人携帯から社外へ発信することへの抵抗

部屋数が限られる日本の住宅環境では、家族との共有スペースであるリビングやダイニングが作業場所となっていることも多く、子供がいる従業員の場合、思うように作業が進まなかったり、中断しなくてはならないケースも多いようです。

従業員の在宅での勤務状況を聞き出すことで、都合の良い時間にWeb会議を開くようにするなど解決策が見つけられることもあります。

リモート環境下では、どうしてもコミュニケーション不足に陥ってしまいがちです。従業員との信頼関係の構築をしておくことで、円滑な問題解決が図れるでしょう。

BYODでの情報漏洩や端末の紛失というリスクに対する最も一般的な解決策が、モバイル端末の管理を行うMDM(Mobile Device Management)です。

紛失してしまった際にはこのシステムを使い、データを削除したり端末をロックしたりすることが可能です。

また、端末の利用頻度が高い場合や容量の大きなデータを大量に扱う場合は、通信料金の補助を行うという場合があります。例えば予め1GB=1,000円と決め、利用データ量に応じて通信料金を補助します。

(参考:https://www.lifehacker.jp/2020/05/212067minnano_remote_work_vol3.html,

https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/column/20200702/,

https://www.okamura.co.jp/company/topics/other/2020/zaitaku_report_2020.html,

https://www.dhbr.net/articles/-/6599,

https://otekomachi.yomiuri.co.jp/news/20200324-OKT8T211318/,

https://line.worksmobile.com/jp/blog/staff/lineworks_by_byod/,

https://www.optimalbiz.jp/blog/byod-merits-and-demerits/)

まとめ

リモートワークを導入する上で考えられる課題と、その解決方法についてご紹介いたしましたが参考になりましたでしょうか。

新型コロナウイルスの影響によって働き方が大きく変化した現代ではリモートワークの需要が高まっており、経済誌フォーブスの記事によれば、現在アメリカの全ての営業マンのうち47.2%がリモート営業に従事していると言われているなど、営業もリモート環境下で行う企業が増加しています。

Facebook社は2030年までに社員の半数を永久的にリモートワーカーとする可能性を明かしています。

日本でも、Withコロナの時代に合わせた環境を整えることが求められていくでしょう。