コールセンターのリモート化で避けたい失敗例とその回避策とは?

 

(はじめに)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染防止対策として、リモート化が求められる中、なかなか上手く導入できないと悩んでいる企業を多く聞きます。本記事では、コールセンターのリモート化で避けたい失敗例とその回避策について解説します。

 

コールセンターリモート化で避けたい失敗例

コールセンターリモート化で避けたい失敗例を以下紹介します。

機密情報漏洩の発生

新型コロナウイルスの影響によって、リモートワークを開始する企業が増えていますが、実際に以下のような機密情報漏洩が発生しています。

・在宅勤務時 SNS経由で社用PCがウイルスに感染、社内ネットワーク接続で被害拡大(M社)

・テレワークで特例的に私用アドレス許可、メールが届かず誤送信判明(G社)

・テレワークでUSBを持ち出し紛失、生徒の個人情報360件が流出の可能性(高等学校O)

また、日本IBMが公表している「情報漏えいのコストに関するレポート」では、情報漏えいインシデントの80%は個人情報に関係するものと指摘されています。さらに、企業が情報管理のコンプライアンス向上に向けた動きを強化していることを逆手に取って、盗み出された個人情報を使って“身代金”を要求される事例があると言われています。

(参考:ASCll×TECH「情報漏洩の総コストは「平均4億円」、IBMが年次レポート発表」)

リモート化に必要な準備をしないことによるサービス品質低下

リモート化は運用コストを下げられるなどのメリットがありますが、リモート化のために必要な準備を怠ることで、サービス品質を落としてしまいます。

リモート化をする際には、従業員に対して丁寧にヒアリングをして、必要な備品(電話端末、PC、ヘッドセットなど)を貸与しなければなりません。また、同時にホスティングサーバー、クラウドPBXなどリモート化を実現化するためのインフラを整えなければなりません。通信環境もリモート化に合わせたかたちで整備しましょう。これらの準備を怠ってしまうと、従業員満足度やサービス品質は落ちてしまい、結果的にリモート化に失敗してしまいます。

(参考:aircall「Virtual Call Center Software: Here’s All You Need to Know」)

スタッフへの評価やサポートを怠ることによるモチベーション低下

従来のオフィスワークでは、現場での働きぶりや勤務態度等を勘案しての評価が可能でしたが、リモート環境下においては、それらを加味した評価が難しくなってしまいます。一方で、成果だけを単に評価軸として導入するだけでは、成果に直結しない努力や頑張りが評価されなくなってしまい、社員が不公平感を抱えてしまう事態も発生してしまいます。さらには、疎外感を感じるスタッフも出てくることによりモチベーション低下を招きます。

(参考:The New York Times「Remote Work Isn’t Working? Maybe Your Company Is Doing It Wrong」)

(参考:あしたの人事「リモートワークの評価方法・評価基準は?マネジメントの注意点」)

 

失敗を回避する方法とは?

では、コールセンターリモート化の失敗を回避するための方法はどのようなものがあるのでしょうか? 以下紹介します。

リモート化のために必要な準備をする

コールセンターをリモート化するためには、まずは、それに必要なインフラを導入しなければなりません。また、業務プロセスを整えて社内教育を実施する必要もあります。さらには、通信環境を整えることは重要課題です。音飛びや画像乱れなどのトラブルが発生する場合は、ネットワークのどこかに通信を遅くする原因、ボトルネックが潜んでいる可能性が高いです。

一方で、リモート化するためにはコストがかかるため、社内の決裁をもらう必要性もあるでしょう。社内決裁をもらうためには、予算を投じることによって生まれるコスト削減効果やメリット等を具体的な数字で示すとよいでしょう。

(参考:日経XTECK「テレワークの通信が途切れる原因は何か、ネットワークに潜むボトルネックの探し方」)

(参考:創業手帳「カスタマーサポートをリモート化する秘訣を伝授!」)

最新のセキュリティ対策を行う

コールセンターのリモート化を進める際には、可能な限り多要素認証を導入しましょう。多要素認証とは、IDとパスワード承認だけではなく、生体認証やワンタイムパスワードなど複数の認証を組み合わせることをいいます。

端末上のデータ暗号化やVDI化(仮想デスクトップ)により、端末上にデータ保存しない手法もあります。このような最新のセキュリティ対策を採用することで、情報漏洩のリスクを低減することができます。また、誤操作による情報漏洩にも注意する必要があります。従業員に対してはセキュリティに関する教育も行いましょう。

(参考:NTT Communications「テレワークに潜む、情報漏えいのリスクとは」)

(参考:情報漏えいニュースの考察~誤操作によるインシデント編~) 

コール状況の可視化、パフォーマンスで評価する

コールセンターのリモート化を実施する場合は、コール状況の可視化は欠かせません。それにより、各スタッフについて、パフォーマンスとプロセスに基づいて公平に評価を行うようにすることができます。また、リアルタイムにコール状況を可視化することで、オペレーターの管理が効率化でき、スキルに応じたオペレーターの配置を適切に行うことで、待ち時間の短縮や品質向上にもつながります。

(参考:customerTHINK「How To Transition From On-Premise Call Center To Work-At-Home Setup」)

(参考:The New York Times「Remote Work Isn’t Working? Maybe Your Company Is Doing It Wrong」)

スタッフへのフォロー

コールセンターリモート化を成功させるためには、適切なコミュニケーションでスタッフをフォローする必要があります。

スタッフのフォローを忘れてしまうと、孤立を感じるスタッフも出てきてしまう恐れがあります。業務に不慣れな入社したばかりのオペレーターに対しては特に細やかなフォローが必要です。

また、 Microsoft社はリモート化における課題として挙げているのが、仕事と生活の境界線がぼやけてしまうことによる長時間労働化です。スタッフが過剰に働きすぎないようにケアすることも必要です。

さらに、オンライン上での情報共有やコミュニケーションを円滑に進められるようにツールを導入しましょう。導入ツールの選定基準として、

(1)シンプル、(2)操作性、(3)拡張性、(4)信頼性、(5)セキュリティ、(6)コントロール、(7)運用性、(8)導入速度などを考慮しましょう。

(参考:Chatwork「テレワークのコミュニケーション問題と解決方法について解説」)

(参考:nojitter「6 Best Practice Guidelines for Remote Work Programs」)

 

まとめ

今回は、コールセンターのリモート化の失敗要因と解決方法について解説しました。コールセンターの失敗要因をまとめると下記の通りになります。

・機密情報漏洩の発生

・リモート化に必要な準備をしないことによるサービス品質低下

・スタッフへの評価やサポートを怠ることによるモチベーション低下

上記のような理由でコールセンターのリモート化が進まないようです。

一方で、コールセンターのリモート化に成功した企業は、それらの失敗を回避すべく入念な準備を行っています。さらに、スタッフにフィードバックを求め、常に改善を心がけています。リモート化だからこそ、企業はスタッフとより一層コミュニケーションをとるべきです。

本稿では、このような失敗例に対する回避策を記載しました。ぜひ、本稿の内容を参考にしていただき、コールセンターのリモート化を進めてみてください。